庇(ひさし)とは?
庇とは、ひとことで表現すると、外玄関や窓上の外壁に取り付けられた出幅が短い屋根のことです。
雨や日差しを遮る役割があります。
屋根と庇の違いは、構造物であるかどうかです。
屋根は地震や台風などの影響が及ばないよう建築される建物の構造に関わる部位、すなわち構造物です。
一方、外壁に取り付けられた小さな庇は構造に大きく影響が及ばない部位であり、構造物には当てはまりません。
庇とよび方
庇の他、小庇(こひさし)や小庇板金、霧除け(きりよけ)、コンバイザーともよびます。
専門メーカーであるアルフィンが有名で、庇のことを「アルフィン」とよぶ建築関係者もいます。
庇の役割
1 | 夏場の日射対策 |
2 | 夏場の冷房負荷の抑制 |
3 | 玄関下の雨濡れ防止 |
4 | 窓内部からの雨水の侵入防止 |
5 | 外壁の保護 |
温暖化で注目されている庇
庇の取り付けによる遮熱効果は絶大です。
窓の断熱対策よりも効果が高いとされています。
夏場は日照角度が高いため、庇は陽ざしを遮ります。
一方、冬場は日照角度が低くなるため、庇は陽ざしを遮ることなく日光を取り入れることができます。
また、庇は後付けできる場合があり、陽ざしを遮断する方法として今後ますます需要が高まると思われます。
庇板金の種類とメンテナンス
庇の表面には板金が張られています。
理由は軽量で加工がしやすからです。
板金で用いられる金属には種類があり、素材によって、耐久性やメンテナンス性が変わります。
トタン
1990年より昔に建設された庇の素材の多くはトタンです。
トタンは錆びやすいため、定期的な錆びの除去と塗装によるメンテナンスが求められます。
極度の錆びの進行や穴あきがある場合は、トタンの庇板金にガルバリウム鋼板の板を重ねて張る方法で庇を補修します。
外壁工事を伴うことがあるため、庇を解体して交換するようなこと、ほとんどありません。
ガルバリウム鋼板
1990年代から、庇板金の素材はガルバリウム鋼板へと変容します。
ガルバリウム鋼板はトタンよりも錆に強く、錆が広がらない特徴があります。
そのため、メンテナンスに頼らずとも、長期維持を期待できます。
一般的には、外壁塗装や金属サイディングを張るリフォームをおこなうタイミングで、同時に塗装によるメンテナンスをおこないます。
アルミ
最近は、より耐久性の高いアルミ製の庇を取り付けることが多いです。
軽量のため、後付けで取り付けることもできます。(外壁内部の条件にもよる)
耐久性が高いアルミに塗装を施すなどのメンテナンスは基本的に不要です。
昔は造作・今は既製品
昔は、建物と同様に下地から板金張りまで大工や板金工などの職人さんが庇を手作りで工事をしていました。
しかし、最近は既製品であるアルミ製の庇を取り付けることのほうが多いです。
庇の製造会社 | ホームページ |
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アルフィン株式会社 | https://www.alfin.co.jp/ |
YKKAP株式会社 | https://www.ykkap.co.jp/ |
株式会社LIXIL | https://www.lixil.co.jp/ |
庇を取り付ける前に知っておきたい知識
建築面積との関係
敷地には建築物の面積(建ぺい率)に制限があります。
庇の出幅は建ぺい率に影響があります。
具体的には、庇の長さが外壁から1mを超えてしまうと、1mを超えた庇の面積が建築面積にカウントされてしまいます。
つまり、庇があるだけで建ぺい率オーバーとなり、建築物が建てられなくなります。
そのため、既製品の庇は1m未満の商品が多いです。
庇の長さ
庇の長さは、地域や周囲の環境によって定めます。
短すぎても長すぎても、期待している効果が得られません。
取り付けに設計士が関わる場合、地域ごとの日射高さを元に適切な庇の長さを計算してくれるはずです。
庇板金の修理方法
トタンの庇は10~15年に1度の塗装メンテナンスが望ましいです。
30年以上が経過している庇は、庇の機能改善を目的にした修理が求められる場合があります。
庇の塗装
ケレン作業は、ひさしに着いた錆びを除去する作業です。
トタンの庇は錆が付着していることが多いです。
錆止めを塗布します。
着色塗料で仕上げます。
庇のカバー工法(庇の板金巻き)
古い庇を部分的に切断し、平滑にします。
新しい庇板金の下地を張ります。
ルーフィングを敷きます。
板金を張り付けて完成です。
庇の交換
古い庇を解体し、新しい庇を古い庇があった部位に取り付けます。軽量で丈夫なアルミの既製品がおすすめです。
庇板金のメンテナンスは建築板金工事会社へ
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