雨どいとは?取り付け必要の意味
雨樋(あまどい)とは雨水を集めて排水させる筒状の建材のことです。
プラスチック製品(塩ビ)をつかうことが多いです。
雨どいは軒先や建物のはじっこに取り付けられる部材なので、あまり目立ちません。
しかし、雨の多いわが国の建物にとって必要な建材です。
もし雨どいがなければ、屋根に落ちた雨水は住居の屋根全体から流れ落ち、騒音の原因になったり、建物を腐食させる原因となったりします。
さらに、水たまりや溝を作る原因になることもあります。
もちろん、雨どいがあればこれらの不具合を解消できます。
雨どいは建物になくてはならない、かげの立役者です。
「雨どい」・「とよ」・「とゆ」の違い
雨どいのことをとよやとゆとよぶ人がいます。
どれも意味は同じです。
大手雨どいメーカーであるデンカ株式会社が扱っている雨どいがトヨ雨どいとよばれ、街中で「トヨ雨どい」の看板を見かけます。
そのため、雨どいのことを「とよ」とよぶ人が多いです。
「軒樋」・「竪樋」の違い
軒樋と竪樋
屋根工事業者から雨どい交換の見積り書を受け取る時、軒樋交換2,200円/mや竪樋交換2,000円/mといった項目で、見積り書が作成されていることがあります。
雨どいには大きく2つの呼び名があります。
軒先に横に渡して取りつける樋は軒樋(のきどい)とよび、軒樋を通った水を下に落とす役割の部分で、縦に渡した樋を竪樋(たてどい)とよびます。
竪どいは縦どいと書くこともあります。
軒どいと竪どいの両者をつなぐ部材を集水器やあんこう、じょうごとよびます。
集水器は四角いマスのような形になっていて、たくさんの雨水を集める役割があります。
最近の戸建て住宅では、自在ドレンとよばれるマスがないタイプの雨どいが増えています。
丸と角
軒どいと竪どいにはそれぞれ、丸い形の製品と四角い形の製品の2種類があります。
丸い形の軒どいは半円(半月)のかたちなので、私たち屋根工事業者は半丸(はんまる)とよんでいます。
一方、四角い軒どいのことを角(かく)どいとよんでいます。
20年以上昔に建築された住宅の雨どいは基本的に丸い形の製品が採用されることが多かったです。
理由は安いからです。
しかし、最近は強度と排水機能を重視するようになり、四角い形の製品が人気です。
特に軒どいは丸い形ではなく、四角い形を意識的に選ぶようにしましょう。
雨どいの素材
雨どいの素材はいくつかあります。
雨どいは安価なものから高品質高価格のものまで幅広いです。
塩化ビニル製の雨どい
戸建て住宅で最も普及している素材です。
いわゆるプラスチック(塩ビ)のことです。
軽量で施工がしやすく、安価なのが特徴の素材です。
ただし、雨風に弱く、紫外線に対する耐性も低いため、経年劣化とともに歪みや外れなどの不具合が生じます。
基本的には断面積が大きく、丈夫な角形(角どい)の雨どいが理想です。
しかし現実は、建設費用を抑えるために丸形(丸どい)の雨どいが広く普及しています。
おすすめは鉄芯入り
最近はプラスチックの中に鉄芯を入れて補強したタイプの雨どいが開発され、昔の雨どいに比べてとても丈夫です。
パナソニックの雨といアイアンシリーズが有名です。
私たち専門家はPCシリーズとよんでいます。
これから雨どいの工事を検討されているかたはPCシリーズがおすすめです。
アルミの雨どい
筆者がこれまで見てきた雨どいの中でも、アルミの雨どいは本当に丈夫です。
30年経過してもまったく機能に問題がない状態であることがほとんどです。
高価なものではありますが、長く安心してつかい続けられる素材です。
ガルバリウム鋼板の雨どい
ガルバリウム鋼板屋根の人気に伴い、ガルバリウム鋼板製の雨どいの人気も最近高まっています。
ガルバリウム鋼板はアルミほどの耐久性はありませんが、費用対効果の点では優れています。
住宅だけではなく、非住宅の雨どいもガルバリウム鋼板製品が増えてきています。
銅の雨どい
銅は神社・仏閣の雨どいとして、よくつかわれています。
特に銅は経年変化によって酸化し、深みのある色合いへと変わります。
ただし、高額で酸性雨により穴があく可能性もあり、一般住宅ではあまり普及していません。
最後に「雨どい屋さん」とは
塩化ビニルなどの化学製品がない50年以上昔、雨どいの素材といえばブリキでした。
つまり、昔は雨どいを加工して取り付ける職人さんは板金工が専門的におこなっていました。
そのため、年配の人に私が板金工事会社であると伝えると、屋根屋ではなく、雨どい屋だと勘違いされることがあります。
これはもちろん、間違いではありません。
屋根工事と雨どい工事はセットなので、私たちは雨どい工事を毎日のようにおこなっています。
知ってほしいことは歴史的に雨どい屋さんとは板金工事会社であるということです。
街中にある雨どいの看板をよく見ると、板金工事会社であることがうかがえる看板が今でもたくさん残っています。
ぜひ、チェックしてください。
そして、雨どいに関するお困りごとは板金工事会社に相談しましょう。