野地板(のじいた)とは?種類・耐久性・屋根葺き替え時の張り替え時期について徹底解説

野地板とは?寿命・種類・価格について 野地板とは?寿命・種類・価格について 野地板とは?寿命・種類・価格について

「野地板(のじいた)」とは、屋根材を支える下地材のことです。
垂木の上に野地板を張り、その上にルーフィング(屋根の防水シート)、そして屋根材を張り上げます。
野地板にはいくつかの種類があり、戸建て住宅では主に構造用合板とよばれる12㎜の板材を使用します。
野地板は半永久的に維持できるものではないため、老朽化した屋根を葺き替える際は、新たに野地板を張り直します。

野地板は屋根の下地材

野地板の耐用年数がすでに過ぎているのに屋根カバー工法で簡易的に済ませたり、不適切な板材を使用したりすることで屋根トラブルを招くケースも見受けられます。
この記事では、年間1,000棟の屋根リフォームを手がけるテイガクが、野地板の種類や寿命を中心に詳しく解説します。
現地調査と合わせて、野地板のご相談もお気軽にお問い合わせください。
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野地板とは?

屋根材を支える板材

野地板

野地板(のじいた)とは、屋根材(瓦・スレート・金属屋根など)を支えるための下地板のことです。
屋根は、野地板に釘打ちもしくはビス打ちして固定させます。
そのため、野地板の安定は屋根の強度や耐久性に大きく関わります。
野地板が腐食すると、屋根がはがれやすくなったり、雨漏りしたりする結果を招きます。
野地板にも種類があり、屋根材メーカーは推奨する野地板の木材や厚みなどを指定しています。

野地板張りから屋根完成までの手順

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野地板を垂木の上に張る

①野地板を垂木の上に張る

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ルーフィングシートを張る

②防水シートであるルーフィングを張る

屋根を仕上げる

③屋根材を張って棟板金、換気棟を取り付けて屋根工事完成

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野地板を垂木の上に張る

①野地板を垂木の上に張る

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ルーフィングシートを張る

②防水シートであるルーフィングを張る

屋根を仕上げる

③屋根材を張って棟板金、換気棟を取り付けて屋根工事完成

参考動画

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Youtube撮影者 テイガク 代表 前川祐介

主に用いられる野地板の種類

腐食が進行した野地板

基本的に、最も経済的でかつ一定の耐久性が期待できる構造用合板(厚さ12㎜以上)を屋根の下地材として用います。
屋根材メーカーも屋根材下地は構造用合板を指定していることが多いです。
もちろん、半永久的に維持できるものではなく、雨漏りが生じていた場合は腐食が進行します。

野地板の機能比較表

野地板の種類 耐久性 おすすめ度 価格
構造用合板
MDF
杉野地板(バラ板)
普通合板(Ⅰ類) ×~〇
コンクリート型枠用合板 ×~〇
耐火野地板 

構造用合板(針葉樹)

JAS認定スタンプが押された構造用合板

構造用合板は、最も多くの屋根に採用されている野地板です。
一般的に12㎜厚以上の厚さの合板を用います。
屋根材や屋根の構造によって15㎜にする必要もあります。
杉などの針葉樹が用いられることが多いです。
屋根内部の通気性や施工環境によっては、腐朽やカビのリスクがあります。
構造用合板は、構造用合板であることを示すスタンプが押されています。
JAS認定スタンプが押されているかどうかで見極めることができます。

MDF野地板

MDF野地板とは、木材を粉状に繊維化してから成形させた合板で、近年、野地板としての活用が注目されています。
透湿性と撥水性を兼ね備えています。
そのため、金属屋根やスレート屋根は結露が生じやすい屋根材に最適です。
腐朽リスクを抑制でき、長期にわたる屋根下地としての機能維持が期待できます。
また、合板よりも断熱性があります。

杉野地板(バラ板)

バラ板

幅約9㎝から15㎝の杉板のことで、屋根工事業者は「バラ板」とよんでいます。
名前が示す通り規格化されておらず、材木屋さんによってサイズがバラバラです。
昔の建築物で多く使用されていた野地板です。
サイズが小さいため施工に手間がかかり、近年では構造用合板に置き換えられることが増えています。
しかし、その耐久性の高さから、瓦屋根では現在も使用される機会が多くあります。
板材を適度な間隔を空けて張ることで、板と板の間にすき間が生じ、通気性が確保させます。
そのおかげで、長期間にわたり安定した状態を維持できます。
筆者個人は、価格も安く長持ちするため、野地板はバラ板が望ましいと評価しています。
ただし、築後30年以上経過した土葺き屋根の場合、バラ板が歪んだり、ひずんでいたりすることが多いため、下地調整をおこなう必要があります。

参考動画

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普通合板(Ⅰ類)

普通合板(Ⅰ類)

Ⅰ類とは耐水性を評価する基準で、「高度耐水性」を有する合板であること意味します。
耐水性の高い合板は、野地板として使用することができます。
しかし、12㎜を超える普通合板は表面処理がなされていることから比較的費用が高く、経済的ではありません。
なお、筆者が経験した雨漏り現場で過去、屋根をはがしたところ、耐水性が全くない合板が用いられていた現場がありました。
普通合板の中には耐水性がない内装用の製品もあるため要注意です。

コンクリート型枠用合板(コンパネ) 

コンクリート型枠用合板

コンクリート型枠用合板とは、コンクリートを流し込んで固める際に用いる合板です。
耐水強度が高いため、野地板として使用することができます。
しかし、普通合板と同様に構造用合板に比べて費用が高いため、使用することはほぼありません。

耐火野地板

耐火野地板(鉄骨造)

耐火野地板は、その名の通り耐火性能を備えた野地板です。
鉄骨造の建物でよく用いられます。
火災時の被害を抑える目的で製造されており、主に公共施設や商業地域、工場倉庫などの特殊建築物で使用されます。
高い耐熱性を持つことで、屋根の延焼リスクを低減し、安全性を向上させる役割を果たします。
耐火野地板には「木毛セメント板」や「木片セメント板」などの種類があります。
ニチハのセンチュリーボードが有名です。

野地板のサイズと厚み

屋根で用いる野地板の厚みは、構造用合板の場合、最低12㎜必要です。
野地板の一般的なサイズと価格は下記の通りです。

各野地板のサイズと厚み

野地板の種類 サイズ(mm) 価格
構造用合板 910×1820×12 1500円前後
MDF 910×1820×9.2 2000円前後
杉野地板(バラ板) ​150×2000×12 1000円前後
普通合板(Ⅰ類) 910×1820×12 2000円前後
コンクリート型枠用合板 910×1820×12 2000円前後
耐火野地板  910×1820×18 3000円前後

野地板の価格はロシアウクライナ戦争の影響で2022年にかなり高騰しました。(ウッドショック)
2025年現在は、一時期に比べて価格は安定しています。
10年前の構造用合板は1枚1,000円を切っていましたが、インフレ等の影響もあり1枚1,500円程度が相場です。
コーナンやカインズなどのホームセンターでも購入ができます。

職人さんの手間を含めた野地板を張る工事の平均価格は下記の通りです。

野地板工事の平均価格

工事内容 一般価格
野地板張り工事価格 3,000円/㎡前後
野地板の張り替え工事価格 4,500円/㎡前後
構造用合板を張る工事価格

構造用合板とは?

張り替えた新品の野地板(上の段)

構造用合板とは、屋根だけではなく、建物の壁や床などの構造部分に用いられる強度が高い合板のことです。
薄くスライスした木材の板(単板)を繊維方向が直交するように複数枚重ね合わせ、接着剤で圧着して作られています。
杉やパイン、ヒノキなど、木材によっても耐久性と価格が異なります。
15年程度で変色し、腐食がはじまります。

屋根葺き替えの際には、野地板を重ねて張る「重ね張り」をおこないます。
既存屋根がスレート屋根である場合、近年主流の軽量な金属屋根で葺き替えれば、野地板を重ねても屋根の重さは軽くなります。

厚み 主な用途 重さ
構造用合板9mm 外壁 約8kg
構造用合板12mm 屋根 約10kg
風の影響や腐食しやすい屋根の方が厚みは求められる

野地板の構造と役割

野地板の役割

1.屋根材を支える

剥がれた屋根

瓦・金属屋根・スレートなどの屋根材を固定するための下地として機能します。
しっかりとした野地板がなければ、屋根材を安定して取り付けることができません。

2.建物の強度を高める

構造用合板を用いることで耐震強度向上

野地板があることで、屋根全体の剛性(がっちりした強さ)が増し、耐震性や耐風性が向上します。
2×4(ツーバイフォー)では、屋根を含む建物の外側全面に構造用合板を張ることで、耐震性を確保させることができます。

3.断熱・防音・防火性能の向上

通気層を設けることで断熱効果向上

野地板があることで、屋根材だけでは防ぎきれない熱の伝わりを抑えたり、雨音を軽減したりする効果もあります。
耐火野地板のように、火事による延焼を防ぐ性能も発揮する野地板もあります。

屋根葺き替え時の野地板の取り扱い

屋根葺き替え時には、野地板をはがさず、古い野地板の上に増し張りして屋根を仕上げることがほとんどです。
2025年4月、建築基準法が変わり、建物の改修の際に古い野地板の過半をはがす行為は、確認申請が必要になりました。
そのため、野地板をはがすことは、労務費だけではなく、工事期間の観点からも施工が難しい状況となっています。

野地板増し張りの手順

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古いスレート屋根

古いスレート屋根

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屋根材をはがす

屋根材をはがします

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換気棟を取り付け

結露抑制のために換気棟を取り付けます

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野地板を張る

屋根全面に野地板を張りました
古い野地板の上に新しい野地板(構造用合板12㎜)を張り付けます

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ルーフィングと屋根材を張る

ルーフィングと屋根材を張ります
断熱材一体型の金属屋根がおすすめです

屋根葺き替え工事完成

屋根葺き替え工事完成

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古いスレート屋根

古いスレート屋根

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屋根材をはがす

屋根材をはがします

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換気棟を取り付け

結露抑制のために換気棟を取り付けます

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野地板を張る

屋根全面に野地板を張りました
古い野地板の上に新しい野地板(構造用合板12㎜)を張り付けます

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ルーフィングと屋根材を張る

ルーフィングと屋根材を張ります
断熱材一体型の金属屋根がおすすめです

屋根葺き替え工事完成

屋根葺き替え工事完成

屋根葺き替えに関する記事はこちらから

屋根の葺き替え

野地板が腐食するとどうなるのか?

台風ではがれた屋根

野地板が腐食すると、屋根を固定する力がなくなります。
そのため、屋根が風ではがれやすくなります。
画像は2019年台風15号で飛ばされた屋根の画像です。
当然、雨漏りを放置すると、野地板の腐食は進みやすくなります。

張り替えが必要な場合は

腐食した垂木と補強した垂木

野地板の腐食が進行し過ぎてしまうと、野地板増し張りではなく、野地板を張り替える必要があります。
まれに野地板を支える垂木までもが腐食していることがあります。
垂木が腐食している場合は、垂木を補強する必要があります。
もちろん、垂木を補強する工事は、野地板をはがさなければできません。

テイガクは、野地板の状態を確認し屋根リフォームをご提案します。
新しい野地板には、厚さ12㎜の丈夫な構造用合板を使用します。
屋根の調査・お見積もりは無料で承ります。

フリーダイヤル:0120-94-8807 年中無休(9:00-16:00)

野地板の寿命とメンテナンスの必要性

野地板の寿命は30~50年

野地板の一般的な寿命 野地板の寿命はおよそ30~50年程度です。
屋根材や屋根の構造によって野地板の寿命は大きく変わります。
たとえば、瓦屋根は通気層が確保でき、かつ断熱性が高いため、スレート屋根や金属屋根(断熱材なし)の屋根よりも野地板は長持ちします。
スレート屋根やトタン屋根の野地板は30年程度、長くてもせいぜい40年です。
そのため、40年を超えると屋根カバー工法は適用できず、野地板増し張りを含める葺き替え工事を検討します。

屋根材 野地板の寿命 葺き替え検討時期
瓦屋根 約50年 40年~
スレート屋根 約35年 30年~
縦葺き金属屋根(断熱材なし) 約30年 30年~
横葺き金属屋根(断熱材なし) 約40年 30年~
アスファルトシングル 約30年 30年~

野地板が傷みやすい部位

築30年のスレート屋根(屋根の角の下地)

野地板は屋根先の角の部位、もしくは下り棟や谷樋などの雨水が集中する部位から腐食が進行することが多いです。
もし、屋根の中心部に立って野地板がたわんでいる(傷んでいる)ことが確認できれば、野地板の寿命がきていると判断できます。

野地板の寿命に関わるポイント

換気状態を良くする

通気口

換気棟は屋根裏の熱と湿気を取り除く屋根に取り付ける部材です。
換気棟を取り付けることで、屋根裏を乾燥状態にさせることが可能になります。
湿気や雨漏りで野地板が濡れても、換気棟があることで野地板が乾きやすくなります。

換気棟

居室の暑さ対策で換気棟を取り付ける人が多いです。
しかし、本来の換気棟の取り付けの目的は、野地板を長寿命化させることが目的です。

使用する防水シートや施工方法

透湿ルーフィング

野地板を2層構造にして通気層を確保することで、断熱効果と調湿効果を高められるため、結露発生が抑制できます。
加えて屋根の防水シートであるルーフィングを透湿系のシートに変更することで、野地板の結露による水濡れリスクが抑制できます。(屋根通気工法)

断熱効果を高める

断熱材

結露は野地板表面の温度と外気の温度差が大きいほど発生しやすくなります。
わずか1℃の温度差で、1㎡あたり500ccペットボトル約1本分の結露水が野地板表面に発生します。
たとえば、断熱材一体型屋根のような断熱性能が高い屋根を用いると、野地板結露を抑制することができます。

また、インシュレーションボードを組み合わせて屋根を張ることも有効です。
大建工業から販売されている吸音性に優れた「ビルボード」、調湿性に優れた「エコヘルボード」が有名です。
構造用合板よりも低価格で施工も簡単であるため、費用対効果が高い施工方法です。

野地板の点検方法

野地板の点検

屋根裏や屋根上の点検は、野地板チェッカープレートや機械式検査機を使用して行います。
屋根裏からの点検は雨漏りの有無を確認する際には有効ですが、野地板の経年劣化や屋根全体、特に軒先部分の状態を正確に把握することはできません。
屋根上からの直接的な点検が最も有効です。
人の体重の重みで屋根がひずむことで、野地板が傷んでいるかどうか判断することができます。
しかし、屋根上作業は危険が伴います。
そのため、基本的には築年数を参考にして野地板の状態を判断します。
言うまでもないことですが、ドローンによる調査は屋根の本当の状態(野地板の状態)を調べるうえでは、全く役に立ちません。
筆者が以前、屋根の点検をするために屋根に上がろうとしたところ、お客様から「なぜ屋根にのぼるのですか?ドローンで調査してくれる業者のほうが信用できます。のぼらないでください」と言われてしまったことがあります。
プロとして、とても残念に感じた出来事でした。

施工不良の実例

太陽光取付業者の施工ミスで雨漏り

野地板にビス打ちがなされており、雨漏りを引き起こした事例です。
太陽パネル取り付け業者の施工ミスです。
屋根に詳しくない業者や職人が少なくありません。
このような太陽パネル取り付け関連の不具合が近年、急増しています。

参考動画
野地板へのビス打ちが原因で雨漏りが発生した現場

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Youtube撮影者 テイガク 代表 前川祐介

手抜き工事による野地板の腐食

この現場では、屋根カバー工法を予定していましたが、野地板の痛み具合が進行しており、急遽、葺き替え工事をしました。
野地板の状態を確認すると、廃材を継ぎはぎして野地板代わりに使用されていることが判明しました。
腐食もかなり進行していました。

参考動画
手抜き工事による野地板が劣化した現場

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野地板のご相談・屋根工事はテイガクで

テイガクは、創業25年以上の屋根工事会社です。
年間1,000棟の屋根リフォームを手がけ、沢山の現場を調査してきました。
屋根の下地である「野地板」は、屋根リフォームでも重要な箇所です。
現地調査で、現在の野地板の状態をしっかり確認し、適切な工事をご提案いたします。
屋根リフォームを検討している方は、お気軽にご相談ください。

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フリーダイヤル:0120-94-8807 年中無休(9:00-16:00)

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