リッヂベンツとは?
リッヂベンツとは、樹脂製の換気棟部材のことです。
換気棟の内部に取り付ける換気棟の下地材にあたります。
日本では、日本住環境株式会社が販売しています。
換気棟は屋根の頂点に取り付けて、屋根裏にこもった熱や湿気を外に逃がす働きがあります。
換気棟があることで室内の暑さや結露の発生を抑えることができます。
そのため、リッヂベンツ仕様に限らず多くの住宅の屋根に換気棟が取り付けられています。
日本の換気棟と外国製の換気棟は全く違います。
リッヂベンツを用いた換気棟は、主に北米やヨーロッパで採用されています。
外側は鋼板製の棟板金、内側は樹脂製のリッヂベンツを用いて防水性と通気性を確保させます。
一方、日本製の換気棟は、換気棟の外側から内部に至るまで金属で設計、製造されています。
もちろん、両者では防水性や通気性の性能が異なります。
| 換気棟 | 内部下地の素材 |
|---|---|
| 外国式 | 樹脂製(リッヂベンツ) |
| 日本式 | 金属製 |
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テイガク公式 Youtube はこちらYoutube撮影者 テイガク 代表 前川祐介
リッヂベンツのしくみ
リッヂベンツの側面には、蜂の巣のような小さな穴が並んでいます。
「ハニカム構造」とよびます。
ハニカム構造の穴は空気は通しますが、雨水は通しません。
雨は重力や表面張力の影響で屋根の勾配にしがって進むためめ、リッヂベンツの穴の奥まで雨水は入り込むことはなく、外へと流れ落ちます。
急こう配や2×4にはリッヂベンツがおすすめ
テイガクでは、急こう配や2×4住宅の屋根ではリッヂベンツを採用するケースが多くあります。
国内製の換気棟は急こう配・2×4を前提とした仕様やラインアップが限られる一方、欧米では急こう配や2×4の建物が一般的で、リッヂベンツもその条件に適合する設計が標準化されています。
石粒付き金属屋根で用いられる
リッヂベンツは石粒付き金属屋根で採用されることが多く、石粒が付着した鋼板は曲げ加工が難しいため、スレートやアスファルトシングルと同様に屋根下地へ直接留め付ける「直打ち工法」で棟を納めます。
施工手順は、リッヂベンツを屋根面に固定し、その上から棟板金を被せる形です。
なお、リッヂベンツの側面が雨水に直接触れる納まりとなるため、防水処理や留め付け位置、止水部材の選定など、施工には十分な配慮が必要です。
リッヂベンツの取り付け方
海外の屋根工事専門家のYouTubeチャンネル「Roof Repair Specialist」で、リッヂベンツの分かりやすい取り付け動画を見つけました。
ぜひ、参考にしてください。
リッヂベントの取り付け方法 | シングルルーフ取り付けガイド
日本の換気棟の構造
日本式の換気棟は内部構造まで金属製です。
鋼板の折り曲げ加工で水返しや迷路状の経路を設け、雨水の侵入を抑えつつ小屋裏の暖気を効率よく排出します。
通気開口の有効断面を確保しやすいため(リッヂベンツはハニカム構造の穴からの空気排出であるため)、筆者はリッヂベンツより通気量で優位となる場面が多いと評価しています。
実際に北米の住宅を見ていると、北米では棟全体に開口部を設けてリッジベンツを取り付けています。
材料の長期安定性の面でも、鋼板製であることから影響が低い点が長所です。
もちろん、日本製の換気棟との比較であり、リッジベンツの換気性能や耐久性が劣るという趣旨ではありません。
適切な設計・施工が行われれば、リッヂベンツも安心して用いることができます。
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築20年が経過したリッヂベンツ
テイガクのYouTubeでは、施工から20年を経たリッヂベンツの現地確認を動画で解説しています。
20年後も不具合は見られず、換気棟としての機能をしっかり維持していました。
「樹脂はすぐ傷むのでは?」という不安に対しても、当該現場では長期にわたり良好な状態が確認できています。
もちろん、立地や施工条件で耐久性は左右されますが、適切な製品選定と施工が行われていれば、樹脂製換気部材でも長期維持が可能であることを示す事例です。
リッヂベンツの価格について
リッヂベンツの価格
工事資材を扱う通販サイト「モノタロウ」では、長さ1,220mmタイプ(リッヂベンツ122)が1本あたり税込7,698円、長さ1,820mmのロングタイプ(リッヂベンツ182)は1本あたり税込12,078円で販売されています。(2025年9月時点の価格)
サイズや本数によって価格は変わりますが、1本あたり1万円前後で販売されていることが多いです。
| 換気棟の商品代金 | 価格 |
|---|---|
| リッヂベンツ(SMALL) | 8,000円 |
| 棟板金 | 1,000円 |
リッヂベンツの取り付け費用
リッヂベンツ本体の価格に加えて、取り付けには工事費がかかります。
新築時のリッヂベンツ1本あたりの取り付け費用は20,000円前後です。
屋根リフォーム時は古い板金部材の撤去処分費がかさむため、材料費と工事費を合わせて 1本あたり30,000円前後です。
実際の費用は屋根の広さや角度によっても変わります。
屋根リフォーム時は追加やサイズアップも検討
日本では棟の一部だけに換気棟を取り付けることが多いですが、北米では棟全体に通気口を設けてリッヂベンツを取り付けます。
換気棟の穴は大きければ大きいほど換気効果が高いです。
「しっかり換気したい」という人は、換気棟を増設したり、サイズを大きくしたりすることも検討してください。
次の動画は、海外のYouTubeチャンネル「Roofing University」で紹介されていたリッヂベントの取り付け方法の動画です。
リッジベントの取り付け方法 – リッジベント取り付けチュートリアル
代表的なリッヂベンツの商品
リッヂベンツにはいくつかの種類があります。
日本でよく使われるのは「リッヂベンツ」と「リッヂベンツ182」の2種類です。
日本住環境株式会社が販売しています。
標準の「リッヂベンツ」は全長1,220mmで、多様な屋根に適合する汎用モデルです。
「リッヂベンツ182」は1,820mmのロングタイプで、換気開口面積がより大きく確保できます。
換気棟の取付はテイガクへ
リッヂベンツは北米で広く使われる定番の換気棟部材です。
日本では金属製の換気棟が主流のため認知度は高くありませんが、金属製に比べて施工が容易で、比較的ローコストで取り付けられます。
一方で、構造上、雨ざらしとなる部位があるため、納まりや防水処理には十分な配慮が必要です。
テイガクは創業25年の屋根専門工事会社として、リッヂベンツの施工実績が豊富にあります。
屋根全体を換気棟で連続させる計画や、既存棟への増設にも対応可能です。
屋根工事や換気棟の設置をご検討の方は、どうぞお気軽にテイガクへご相談ください。
よくある質問
なぜ換気棟は取り付ける方が良いのでしょうか?
換気棟があることで屋根裏にたまる熱や湿気を外に逃がせるため、夏の暑さ改善や結露を防ぐ効果があります。
夏の日射から流入する熱を放出することで室内が快適になります。
そして、結露を抑制することで建物の耐久性を高めることができます。
どんな屋根勾配でも設置できますか?
リッヂベンツは幅広い屋根勾配に対応できます。
製品にもよりますが、一般的には2.5寸から10寸まで取り付け可能です。
急勾配の屋根、2×4(ツーバイフォー)住宅でも採用が可能です。
強風・台風時でも安心して使えますか?
リッヂベンツは最大風速54m/sに耐える設計で、適切に施工されていれば強風や台風時でも安心してご使用いただけます。
ただし、その性能を十分に発揮するためには、留め具(ビス)の長さ・本数・配置、そしてシーリングによる止水処理など、仕様に沿った確実な施工が大前提です。
屋根工事は完成後に見えにくく、特に棟まわりは仕上がってしまうと品質確認が難しくなります。だからこそ、正しい施工要領に基づく確実な取り付けと、施工写真などの記録による管理体制が重要です。
