テイガク(昭和ルーフリモ株式会社)は、
新しい棟板金の取付方法「エスヌキ工法」の
特許を取得いたしました。
01 エスヌキ工法とは?
長期間雨漏りさせない棟板金
テイガク(昭和ルーフリモ株式会社)は、新しい棟板金の取付方法「エスヌキ工法」を開発しました。
棟板金の下地に、エスヌキ(テイガクオリジナルの金属下地)を用いて、この取り付け方法を行うことで、従来よりも長持ちする棟板金工事を可能にしました。
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棟板金の腐食による棟板金の飛散を防ぐ
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棟板金内部に入り込む雨水から起因する雨漏りを軽減
テイガクオリジナルの棟下地「エスヌキ」とは?
これまでは、棟下地と言えば、「木」や「樹脂」の下地が一般的でした。
「木」は腐食しやすく、「樹脂」も長年使用すると、「反り」や「割れ」が発生する可能性があることが判明しています。
そこでテイガクは、耐久性が高い金属製の下地「エスヌキ」を開発しました。
「エスヌキ」は、棟内部へ水が入り込まないよう、クリアランス部(空間)を確保したS字型をしたテイガクオリジナルの下地です。
ガルバとアルミの2種類をご用意
エスヌキの素材は、「価格の安いガルバ」と「錆に強いアルミ」の2種類からお選びいただけます。
異種金属接触の影響など、お客様に安心いいただくためにQ&A形式でまとめました。
電食(異種金属接触)って何?
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異なる種類の金属が接触している箇所に、電気が通る水が触れることで、電位が低い方(イオン化傾向の高い方)が腐食する現象です。「異種金属接触腐食」とも呼びます。
電食による影響は、接触する異種金属の「電位差」と「面積差」によって大きく変わります。
また、「絶縁処理」と「防水性」を施すことで電食は抑えられます。
異なる金属のうち腐食する金属は決まっているの?
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金属には電位があり、電位が低い金属(卑金属)が腐食し、電位が高い金属(貴金属)は防食されます。
以下の順番に電位が高くなります。
マグネシウム<アルミ<亜鉛<鉄<すず<銅<ステンレス<金
たとえば、湿潤状態で鉄とステンレスを接触させると、鉄が腐食します。
ガルバ製の棟板金とアルミ下地が接触する影響は?
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ガルバ製の棟板金にアルミの下地材を用いると電食作用が発生します。
しかし、ガルバとアルミの電位差は20Vと極めて低いです。
そのため、テイガクでは棟板金の固定力維持における影響はないと考えています。
なお、電位差が少ないことからアルミテラスをガルバ製の外壁に直接取り付けても問題ないといった見解をサッシメーカーも示しています。
ガルバリウム鋼板って何?
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ガルバリウム鋼板とは、「鉄の板」を「ガルバリウム」で覆った鋼板のことです。
金属で金属をコーティングすることを「めっき」とよびます。
そして、ガルバリウムはアルミと亜鉛を主とする合金です。
なかでもアルミ成分はガルバリウムの中に55%も含まれています。
ちなみにJIS規格におけるガルバリウム鋼板の(正式)名称は、「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」です。
ステンレスのビスが接触する影響は?
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電位差が大きくなる異種金属の組み合わせは、「鉄とステンレス」「アルミとステンレス」の組み合わせです。
ただし、電位が高い金属よりも電位が低い金属の表面積が小さい場合、電食作用を抑えることができます。
ステンレスのビスはガルバの棟板金やアルミの棟下地に比べると面積比が小さいため、電食作用は働きません。
面積比が小さいことから雨樋金具などをステンレスビスでガルバの外壁に直接取り付けても問題はありません。
異種金属が接触するケースは他にもある?
詳細を見る 閉じる屋根では太陽光パネルのアルミ金具や屋根上設置のアルミバルコニー、外壁ではアルミテラスや庇など、異種金属を直接接着させるケースはよくあります。
ガルバ・アルミ・ステンレスに絶縁処理などはされているの?
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インターネットでよく目にする電食でボロボロになった金属の参考写真の多くは、素地の状態で電食が生じた写真です。
電食は異種金属が素地の状態で接触することで発生します。
テイガクが用いるガルバとステンレスは、塗膜により絶縁処理されています。
アルミ製の金属下地は、耐腐食性や耐摩耗性に優れたアルマイト処理をしています。
そのため、素地の状態で金属同士が触れることはありません。
アルマイト処理とは?
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アルマイト処理は、アルミニウムを電解液中で通電させ表面を酸化させ、人工的に酸化被膜を生成させる表面処理のことです。
厚くて丈夫な酸化被膜で保護することで、耐腐食性や耐摩耗性に優れたアルミニウムになります。
テイガクは防水性についてどんな工夫をしているの?
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接触した異種金属が水を介して触れなければ電食を抑えることができます。
そのため、ビスの穴からの雨水侵入について設計する必要があります。
テイガクでは、棟板金を固定するビスにもこだわっています。
分厚く摩耗しづらいパッキン付きのビスを用いています。
長期にわたる棟板金内部への雨水浸水ブロックが維持できます。
湿気による結露の影響は、外気に比べると軽微であると当社は考えています。
ビス穴小口(切断面)が錆びる理由は?
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ビス穴の切断面の錆びの主な原因は、異種金属接触を起因とするものではなく、水濡れによる酸化によるものです。
ガルバリウム鋼板の場合、ガルバリウムで守られていない鋼板の素地がむき出しになるため、水に濡れた小口(切断面)は錆が発生します。
テイガクの経験上、降雨後、わずか1週間でガルバリウム鋼板の小口に錆が生じた経験があります。
ただし、テイガクの経験上、常時水濡れしてい環境ではない限り、錆びが屋根機能にまで影響を及ぼすことはありません。
なお、アルミ切断面は空気に触れると酸化被膜(バリアー層)を形成するため、切断面の水濡れの影響はガルバに比べると軽微です。
実際にエスヌキが用いられた現場の経過は?
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写真はガルバの棟板金にアルミのエスヌキを用いた写真です。
棟板金取り付け後、3年が経過しています。
アルミのビス穴小口は全く錆が生じておらず、安定していました。
なお、ガルバのビス穴小口(切断面)は錆が生じていました。
ガルバ製の下地もあるの?
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ガルバ製の下地も用意がございます。
同質素材で施工をすれば、電食の問題は完全に払拭できます。
ガルバとアルミどちらがオススメ?
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アルミをオススメします。
開発当初、「エスヌキ」はガルバのみを製作していました。
しかし、ガルバリウムは数十年経過すると「錆」が発生し、腐食することが判明しています。
棟板金は屋根で一番の弱点であり、長期にわたる安定を図りたい思いからアルミ下地を開発しました。
樹脂下地の評価は?
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代表的な樹脂下地は、「エコランバー」「タフモック」「SKシリーズ」の3種類があります。
いずれもビス固定による割れや熱による反りの発現をテイガクでは確認いたしております。
3種類どれも性能は同じであると評価しています。
たとえば、棟板金を固定するビスの位置が中心からずれている場合、ビス固定の圧力に樹脂が耐えきれずに割れが発生します。(写真参照)
職人さんの手による品質の一貫性を実現するには、金属下地によるビス留めが最適であるとテイガクは考えています。
なお、全ての施工された現場で生じている問題ではないため、全ての樹脂下地に問題があると断定はできません。
保証年数は?
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アルミの下地を用いて「棟板金の交換」あるいは「屋根カバー工法」をおこなった場合、10年保証を付保いたします。
葺き替えの場合は、15年保証を付保いたします。
棟板金の性能維持で保証期間を設けている工事会社は少ないはずです。
なお、樹脂下地や木下地は保証を設けておりません。
素材 | 棟板金の保証期間 |
---|---|
エスヌキ(アルミ/ガルバ) | 10年保証 |
樹脂下地/木 | 保証なし |
エスヌキ工法の3つの強さ
オリジナル棟下地で、クリアランスを確保、従来よりも金属屋根を高く立ち上げ。雨水の侵入を防ぎます。
釘ではなくビスで強固に固定。内側の木にビスを貫通させないため、釘穴からの腐食を起こしません。
棟下地は金属製。ガルバリウムとアルマイト処理されたアルミを用意。ビスはステンレス(電食防止パッキン付き)です。
02 棟板金の工事とは?
棟板金について知ろう
雨漏りしやすいのは「下り棟」
戸建て住宅において、屋根の最も高い部分で、2つ以上の屋根面が接続する場所を「棟」と呼びます。 棟には、「主棟」と「下り棟」があり、雨水が棟内部に集中して入り込みやすいのは「下り棟」です。
屋根の要「棟板金」
「棟板金」は、棟をカバーし、水や風による影響を最小限に抑える板金部材です。 棟板金の取り付け方法によっては、棟板金の内部へ雨水浸透度合いが大きく変わってきます。
よく行われている工事方法とは?
従来の棟板金の工事方法について解説します。
CASE 1 直打ち工事
現在、多くの屋根材で取り入れられている方法です。
「直打ち」は、棟下地(貫板)に直接、屋根材と棟板金を釘打ちして固定します。施工が簡単で屋根工事の費用を抑えることができます。
雨が降ると、棟内部へ雨水が入り込み、下地を腐食させます。 釘は錆びを引き起こし、屋根材や棟板金に穴を生じさせます。棟板金にまつわる不具合や雨漏りは、屋根本体に棟板金の下地を直打ちしていることに起因します。
- 棟板金の中に雨水が入り込むことによる木部の腐食と雨漏り
CASE 2 L型捨て谷
屋根内部に捨て谷とよばれる板金部材を取り付けて、下り棟に集中する雨水を排水させる方法です。
断面がL字型の板金部材を取り付けることが多いです。
この工法は金属屋根だけで採用されます。
直打ちよりも屋根の機能上、安全な棟の仕上げ方法です。
しかし、捨て谷から雨がオーバーフローするリスクや、虫やゴミが捨て谷に入り込んで排水が期待通り進まない可能性があります。
また、受け木の上にある貫板が木の場合、水に触れるので腐食しやすいです。
- 捨て谷から雨水がオーバフローするリスクがある
- 貫板が木の場合、腐食する可能性が高い
L字型の捨て谷ではなく、より止水性と排水性に優れたC字型の捨て谷も一部メーカーから用意されています。
L捨て谷と同様に板金部材を取り付けて、下り棟に集中する雨水を排水させる方法です。
断面がC型の板金部材を取り付け、金属屋根で包み込むように立ち上げます。
CASE 3 屋根本体立ち上げ
金属屋根の「折り曲げ加工」という特性を活かした工法です。
金属屋根は立ち上げることで、止水性能を高めることができます。
「受木」と呼ばれる下地の高さまで、金属屋根を立ち上げ、棟板金を被せ釘打ちします。
受木よりも高い位置まで金属屋根を立ち上げることができないため、雨水が棟内部に侵入する可能性があります。
屋根は勾配があるため、棟板金下地の選定が極めて困難です。
また、水上側と水下側の立ち上げ高さが変わります。
金属屋根の施工で再現したい工法ですが、職人さんの技術などに依存するため、理想的な仕上げが難しいです。
- 高度な施工技術を必要とする
- 釘穴からの木部腐食を抑えられない
屋根の不具合箇所で一番多い棟板金
近年の大雨や強風などで、棟板金の飛散や剥がれといった不具合が多発しています。
03 よく分かる解説
エスヌキ工法の仕組み
テイガクオリジナルの棟仕上げ工法です。
棟に沿って受木を取り付け後、金属屋根を従来よりも高く立ち上げます。
受木に、テイガクオリジナルの棟下地(貫板)を取り付け、棟板金を被せます。
パッキン付きのビスで強固に固定します。
エスヌキ工法は、従来よりも高く立ち上げるため、雨水が棟内部に入り込みづらい設計です。
エスヌキ工法のココに注目!
CHECK 1 従来よりも高く金属屋根を立ち上げ
今までの金属屋根の立ち上げは、水上側や水下側で高さの調整が必要で、建築板金職人さんの技術に左右される問題点がありました。
テイガクの棟下地(貫板)は、クリアランス部が確保されているため、金属屋根が立ち上げやすいです。
職人さんの技術に依存しない、期待以上の立ち上げ高さが確保できます。
- 職人さんの技術に依存しないから、安定した施工が可能
CHECK 2 オリジナルの棟下地は腐食に強い金属製
木や樹脂が一般的な棟下地とは違い、テイガクは金属製。ガルバリウムとアルマイト処理されたアルミの2種類用意。雨水による腐食を防ぐために素材もこだわっています。
- 棟板金下地の腐食を大幅に抑えられる
CHECK 3 ステンレスのビスでしっかり固定
腐食に強いステンレスのビスで強固に固定します。
屋根材に直接貫通しない位置にビスを打ちます。
棟板金と金属下地を固定する力は凄まじく、強風による棟板金飛散リスクが大幅に低減できます。
- 棟板金の飛散リスクが大幅に低減する
エスヌキ工法による施工例
04 お問い合わせ
エスヌキ工法に関する技術提供・取材依頼について
この新技術に関してご興味がある同業者の方へ、部材や施工技術の共有、コンサルティングを行っております。取材のご依頼も受け付けております。是非、お気軽にお問い合わせください。
テイガク広報部
E-mail:public-relations@roofremo.com
直打ち工法の実際の現場
直打ちで仕上げられた棟板金の現場写真です。
屋根に穴を空けて直接棟板金の下地を固定します。
スレート屋根や、表面に石粒が付着しているアスファルトシングルや石粒付き金属屋根は、横走りしにくいから問題がないという意見を聞くことがあります。
しかし、どの屋根材も下り棟の下地内部に雨水が入り込むことは避けられません。
L捨て谷工法の実際の現場
伊藤忠建材のスカイメタルルーフ(石粒付き金属屋根)は、他の屋根材と異なり直打ちではなく捨て谷仕様に施工方法を統一しています。
石粒付き金属屋根では、この捨て谷仕様の施工方法をテイガクでは推奨しています。
屋根本体立ち上げ工法の実際の現場
屋根本体を折り曲げる、立ち上げ加工は、建築板金の技術に依存しています。
屋根を立ち上げて折り曲げた内部に、下地を入れて棟板金を取り付けます。