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2/17 問い合せ・現地調査・見積書提出・工事・アフターサービスまでの流れを更新しました
2/18 2023年から当社は、職人さんの熱中症対策と作業効率改善のため、夏場(7~8月)は葺き替え工事を実施しない方針となりました。
6月は梅雨の影響もございますので、葺き替え工事を検討されている方はお早めにご契約をお済ませください。

雨漏りは20年責任の時代に【品確法と瑕疵担保責任】

更新

これまで、雨漏りが発生した欠陥住宅において、居住者を守る基本的な法律は品確法でした。
つまり、居住者が施工会社や設計監理者に責任追訴できるのは、建物の引き渡しから10年間が限度でした。
しかし、平成23年の最高裁判決により大きく事態が変わります。
施工会社や設計監理者の業務が不法行為として認められた場合、最長で20年間、責任追及できることになったのです。

この判例を受け、現在雨漏り訴訟が増加しています。
このページでは、雨漏りによる被害者の救済策について、法律の観点から詳しく解説いたします。
※この記事は2016年11月25日(金)に開催された日経ホームビルダー主催によるセミナーを受講した内容を弊社の見解を含めてまとめたものです。
弊社は法律の専門家ではありません。
実際に争いなどが生じる恐れがある場合は専門家にご相談ください。
参考記事としてご覧いただくようお願いいたします。

雨漏り訴訟と瑕疵担保責任

瑕疵担保責任・品確法について

1-1.品確法の登場

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、いわゆる「品確法」は2000年4月に施行されました。
品確法が施行されるまでは、契約内容を売主サイドが一方的に定めていました。
今考えてみると恐ろしいことです。

品確法の誕生により、住宅会社は瑕疵に対して建築後10年間、無償補修や賠償責任を義務づけらました。
瑕疵とは出来上がった住宅がその性能を満たさない状態を示します。
瑕疵担保責任の対象となるのは、「構造上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」のふたつです。

1-2.雨水の侵入を防止する部分とは

雨水の侵入を防止する部分とは以下の通りです。
1.住宅の屋根と外壁 (具体的には屋根・外壁の仕上げ・下地などを指す)
2.住宅の屋根・外壁の開口部に設ける戸・枠その他の建具 (具体的にはサッシなどを指す)
3.雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分
いうまでもないことですが、屋根からの雨漏りは「雨水の浸入を防止する部分」に該当します。

雨水の侵入を防止する部分

1-3.瑕疵担保履行法の登場

品確法は建物の引き渡しから10年間は雨漏りなどの長期保証をしてくれる、とてもありがたいシステムです。
ただし、大きな問題がありました。
それは住宅会社・工務店・リフォーム会社の倒産問題です。
品確法は住宅会社の担保能力について明確ではなかったため、平成21年10月1日に瑕疵担保履行法(住宅瑕疵担保履行法)が誕生します。

住宅瑕疵担保責任保険により、居住者は必要とする修補や賠償を受けれます。
結果、大手住宅メーカー、小規模の工務店などの企業規模は関係なく居住者は保護されることになりました。
もちろん、瑕疵による被害の救済を受けるには工事会社が住宅瑕疵担保責任保険に加入していることが前提です。
これから屋根に限らず、あらゆるリフォーム工事を依頼する場合には、依頼先の瑕疵担保責任保険加入の有無について必ず確認してください。

住宅瑕疵担保責任保険

平成23年の雨漏り訴訟による最高裁判決

平成19年の雨漏り訴訟の判決で「建物の基本的安全性を損なう行為」は不法行為としてみなされました。
不法行為の典型例は交通事故です。
車が歩行者をぶつけた場合、運転手は被害者に対して損害賠償責任を負います。
法律上、施工会社や設計監理者が交通事故の加害者と同じ立ち位置になったのです。
建築瑕疵の内容が具体化されたのが平成23年の最高裁判決です。
判決では「建物の基本的安全性を損なう行為」の内容に「漏水」が明確に示されました。

この判例の登場により雨漏りに関するこれまでの常識が大きく変わります。
施工会社や設計監理者の業務が不法行為として認められた場合、最長で20年間、責任追及できることになりました。

雨漏り20年保証

瑕疵担保責任と不法行為の違い

3-1.不法行為成立の要件

不法行為の成立には「故意または過失」の認定が必要です。
わざと雨漏りを発生させる業者はいないので、重要なポイントは「過失」になります。
仮に、20年以内に雨漏りが発生しても、直ちに業者が不法行為責任を負うことはありません。
例えば、材や防水シートなどの劣化による雨漏り賠償責任は認められません。
客観的に通常されるべき工事が履行されていないことを、居住者は立証する責任があります。

3-2.瑕疵担保責任と不法行為の違い

瑕疵担保責任と不法行為の性質は異なります。
例えば、瑕疵担保責任・品確法は不法行為とは違い、業者に過失がなくとも無条件に責任追及ができます。

瑕疵担保責任
対象:瑕疵一般・性能不足
責任の種類:無過失責任
責任追及期間:引き渡しから10年
調査費用の請求:〇
弁護士費用の請求:×
責任主体:契約主体
不法行為
対象:基本的安全性を欠く瑕疵に限る(漏水含む)
責任の種類:過失責任
責任追及期間:引き渡しから20年
調査費用の請求:〇
弁護士費用の請求:〇
責任主体:契約主体+業務主体

3-3.不法行為の責任主体について

瑕疵担保責任と比べ、不法行為の責任主体が大きく拡張します。
例えば、施工会社A社と設計監理会社B社、B社に所属する一級建築士Cがいます。
雨漏りが発生した場合、これまでの瑕疵担保責任ではA社とB社までにしか責任範囲が及んでいませんでした。
つまり、A社とB社が倒産していたら請求できませんでした。
しかし、不法行為責任は業務主体にまで責任追及が及ぶため、一級建築士Cにも請求できます。
不法行為として認定されることで契約関係にない人にも飛び火し、被害者は加害者への請求範囲が広がりました。
このことが雨漏り訴訟が増加している要因のひとつです。

不法行為と雨漏り

雨漏り訴訟について

住宅雨漏りが発生した場合、居住者は設計・施工・監理の契約もしくは業務を行った者に賠償請求ができます。
しかし、争いになった場合、被害者には立証責任が求められます。
費用と時間がかかり、ストレスなどの労力も費やすことになります。

4-1.技術的な制約

被害者は加害者の過失を立証しなければなりません。
例えば、天井の雨染みだけを写真に収めて責任追及することはできません。
根拠がないため、相手方に自分自身で濡らしたのではないかと突き返されるでしょう。
相手方は反証を行って戦ってくるので、原告には科学的な説明が求められます。
まず、屋根や外壁を剥がし細部にわたり調査した上で資料を作成しなければなりません。
資料とは調査報告書や瑕疵一覧表、補修見積書などのことです。
そのためには屋根や外壁に関する知識が十分なリフォーム会社の支援が必要になります。
そして、弁護士を雇う必要もあります。
当然、雨漏りなどの建築訴訟に長けた弁護士に依頼しなければなりません。

4-2.費用と時間、労力

雨漏り調査や弁護士を雇うには費用が発生します。
また、調査のために剥がした屋根や外壁はそのままにしておけないので、改修工事を手配することになります。
結審されるまで、住宅雨漏り訴訟では平均で1.5年、マンションでは2年かかります。
その間、被害者は訴訟資料に向き合い、雨漏りのあった住宅で生活しなければなりません。
これは「大変なストレス」です。

4-3.請求できる金額

損害額は補修に必要な最小限の金額です。
数ある補修方法で最も安い工事が認容されます。

瑕疵一覧表

法律の改正や雨漏り訴訟の判例増加

平成21年には瑕疵担保履行法などの新しい法律が成立しました。
品確法も社会問題や消費者ニーズ、経済状況に影響され、その都度、改正が行われています。
最近では平成26年に改正されました。
震災時のインフラ維持管理のために地方の企業が保護される「担い手確保」の法律改正です。
今後、品確法に関する事例や雨漏り訴訟の判例が増えるにつれて、世の中は変わり続けます。
居住者が安全かつ安心できる住まいを提供され、保護されるよう更なる法整備を期待します。

雨漏り訴訟判例の増加

テイガク屋根修理の雨漏り調査サービス

平成23年の最高裁判決により、建築後10年を超える建物の瑕疵でも無償対応を求められるようになりました。
雨漏りが20年にわたり責任追及できる時代の到来です。
責任追及には雨漏りに関する専門的な知識と実務を有する工事会社と弁護士事務所の協力が不可欠です。
テイガク屋根修理では徹底的に雨漏りの原因を突き止める調査業務を承っています。
また、弁護には、弊社の顧問弁護士である東京都港区西麻布の松本法律事務所の松本先生と一緒にお客様救済のサポートをいたします。
調査・弁護サービスは有料で、初回のご相談は無料です。
2016年現在は業務内容の都合上、東京都23区内のお客様に限定させていただきます。
施工業者や設計監理者の過失が疑われる雨漏りにお困りのお客様はお気軽にご相談ください。

テイガク屋根修理の雨漏り調査サービス

まとめ

・瑕疵担保・品確法により、居住者は引き渡しから10年以内に雨漏りの無償補修を請求できます。
・平成23年の最高裁判決により雨漏りは不法行為責任として追及されることが可能になりました。不法行為の責任追及期間は最長20年です。
・雨漏りの不法行為を問う訴訟が続出しています。
・責任主体が契約主体だけではなく、業務を行った建築士個人までの責任追及が可能になりました。
・被害者には立証責任があり、専門的な技術力がある工事会社や建築訴訟の実績がある弁護事務所のサポートが不可欠です。
・法律が改正され、訴訟判例が増加し続けることにより、居住者が責任追及できる環境整備の改善が期待できます。
テイガク屋根修理はお客様の利益になる情報をご提供し続けます。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

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  1. 瑕疵担保責任・品確法について
    1. 1-1.品確法の登場
    2. 1-2.雨水の侵入を防止する部分とは
    3. 1-3.瑕疵担保履行法の登場
  2. 平成23年の雨漏り訴訟による最高裁判決
  3. 瑕疵担保責任と不法行為の違い
    1. 3-1.不法行為成立の要件
    2. 3-2.瑕疵担保責任と不法行為の違い
    3. 3-3.不法行為の責任主体について
  4. 雨漏り訴訟について
    1. 4-1.技術的な制約
    2. 4-2.費用と時間、労力
    3. 4-3.請求できる金額
  5. 法律の改正や雨漏り訴訟の判例増加
  6. テイガク屋根修理の雨漏り調査サービス
  7. まとめ