コロニアルの棟板金の構造と浮きや剥がれが生じる理由

コロニアルの棟板金がわかる動画

棟板金の構造と40年以上安心して固定する方法

棟板金の構造と40年以上安心して固定する方法

棟板金(むねばんきん)と貫板(ぬきいた)

コロニアル(スレート・カラーベスト)の一番高い位置に取り付けられる棟板金
コロニアル(スレート・カラーベスト)の一番高い位置に取り付けられる棟板金

コロニアル(スレート・カラーベスト)金属屋根のてっぺんには、棟板金とよばれる金属の板金部材が取り付けられています。

棟板金の下には木が2本並べて取り付けられている
棟板金の下には木が2本並べて取り付けられている

その棟板金の下には貫板とよばれる下地材が取り付けられています。
貫板には幅9cm厚み18mmサイズの杉材がよく用いられます。

既に釘が浮いている3年前に交換したばかりの棟板金
既に釘が浮いている3年前に交換したばかりの棟板金

コロニアルも金属屋根も基本的に、貫板には杉板を用い、棟板金取り付け後、サイドから鉄くぎで棟板金を固定させます。
そして、コロニアルも金属屋根も共に、築後10年から15年くらいで釘の浮きが顕在化します。
原因として、鉄の錆びによる穴あきと、木の腐食があげられます。

戸建て住宅で最も多いと言っていい棟板金の飛散
戸建て住宅で最も多いと言っていい棟板金の飛散

風の勢いが年々増している昨今、この棟板金のメンテナンスが戸建て住宅の大きな課題になっています。
台風が発生すると、たちまち棟板金が風で剥がれたり、飛散したりする被害が続出します。
統計はないのですが、戸建て住宅の不具合で最も多いのが、この棟板金の飛散ではないでしょうか。

釘の固持力低下が棟板金不具合の原因
釘の固持力低下が棟板金不具合の原因

この棟板金の納まりについて、見直しを図るべきだと筆者は常日頃から思っています。
しかし、業界の進歩はなく、杉の貫板と釘打ちの組み合わせが標準化されたまま今も多くの屋根が同じように仕上がっています。

コロニアルの棟板金の構造

「突きつけ」と「屋根材のビス貫通」

画像はスレート屋根の仕上がり画像であり、この上に貫板を2本並べて取り付ける
画像はスレート屋根の仕上がり画像であり、この上に貫板を2本並べて取り付ける

コロニアルの下にはルーフィングとよばれる防水シートが敷かれており、そのルーフィングのうえにコロニアルを張って屋根が仕上げます。
異なる屋根面が接合する棟部分は、コロニアルが同じ高さで突き合わさるようなかたちになります。
わたしたち屋根工事会社はこの納まりを「突きつけ」とよんでいます。

貫板は屋根を貫通させて固定させる
貫板は屋根を貫通させて固定させる

突きつけたコロニアルの上に、貫板を2本並べて貫板をビスで固定させます。
この時、貫板の下にあるコロニアルに直接穴が空くことになり、「屋根材をビスが貫通」することになります。
最後に棟板金を取り付けて屋根が完成します。

なお、この「突きつけ」と「屋根材をビスが貫通」する2点は、金属屋根の棟板金の仕上げ方と大きく異なる点になります。
そして、コロニアルの弱点でもあります。

棟がなくなっても問題はないか?

築30年近い過ぎた杉の貫板
築30年近い過ぎた杉の貫板

棟板金が外れてしまうと、大急ぎで対処をしないといけないと考えがちです。
しかし、筆者の経験上、コロニアルの棟板金が外れた場合、すぐに雨漏りにいたるといったケースは少ないです。
実際に棟板金が外れた暴風雨の日、雨漏りは起きていなかったのではないでしょうか?
主な理由は3つあります。

  • ルーフィングが機能していたから

  • 屋根には勾配があり、雨はすぐに流れ落ちるから

  • コロニアルには上下左右にすき間があり、雨水が内部に入り込んでも排水するから

もちろん、応急処置や棟板金交換工事は早いにこしたことはないです。
しかし、少しの間であれば、そのまま棟板金がない状態で放置しておいても大きな問題になることはありません。

貫板の材質について

杉木もしくは樹脂の貫板

木は湿気で変形をする
木は湿気で変形をする

棟板金の下地になる貫板の多くは杉の木です。
今でも新築の戸建て住宅は、杉の貫板が当たり前のように用いられています。
最近は、防腐剤が注入された木や腐食しない樹脂の貫板を採用するなどの工夫をこらしている会社様が徐々に増えています。

湿気や熱によって変形するおそれがある
湿気や熱によって変形するおそれがある

しかし、木や樹脂はともに、湿気や熱によって変形するおそれがあります。
棟板金の固定する力に不安が残ります。

金属下地(エスヌキ)

棟板金の下地は金属下地(エスヌキ)
棟板金の下地は金属下地(エスヌキ)

テイガクでは棟板金の下地に、エスヌキ(テイガクオリジナルの金属下地)を用いて、棟板金の施工をいたします。


アイコン テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)の強度について

テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)は「価格の安いガルバ」と「錆に強いアルミ」の2種類からお選び頂けます。
アルミは、異種金属接触の腐食を考慮した板厚(1.3mm)で設計し、表面にはアルマイト処理(絶縁処理)を施しています。
これまでの数多くの失敗と経験から生まれたテイガクのオリジナルの下地材です。
詳細はこちら

棟板金を下地のうえから被せる
棟板金を下地のうえから被せる

金属下地(エスヌキ)は、耐久性があります。
また留め具になるビスとも相性がよく、ガッチリと棟板金を固定することができます。
ビスにもこだわっていて、パッキン付きのステンレス製ドリルビスを用います。
これまで培ってきた技術が行きついた棟板金の工事方法です。

パッキン付きビスで固定する
パッキン付きビスで固定する

これで40年から50年は棟板金の不安から解消され、安心して長くお過ごしいただけます。
工事価格は木や樹脂を用いたものよりも合計で5,000円~20,000円程度、値上がりします。
しかし、10数年後に再び棟板金が飛ばされるリスクを考えると安いものです。

10数年後に再び同じ被害が起きないために

棟板金が浮いていることを突然訪問した業者に指摘を受け、そのまま言われるがままに何となく棟板金の工事契約を結ぶ人が多いのではないでしょうか?

もしくは、火災保険の申請をして棟板金の修理が無料でできると業者に言われ、工事内容のことを調べることなく業者に任せきりで棟板金の工事をおこなう人がいるのではないでしょうか?

これまで経験したことのない風災が将来、起きる可能性は十分あります。

新築時と同じような施工方法で棟板金を取り付けていては、何も進歩がありません。
10数年後には同じような不具合が再び起きるはずです。
ここ40年以上全く変らない棟板金の施工方法に疑問を感じ、テイガク自ら新しい安全安心な棟板金の施工方法を生み出しました。
テイガクの棟板金の工事は金属下地(エスヌキ)を用いて施工をいたします。
この記事をご覧いただき、少しでも興味関心、共感をもたれた読者の方は、是非お気軽に工事のお問い合わせください。

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この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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