【軒ゼロ住宅】軒・ケラバの長さと雨漏りの関係

全記事 一覧 | 2016.12.15

目次

1.軒ゼロ住宅と雨漏り
2.軒・軒先とは
3.軒関連の建築用語【軒とケラバの違い】
4.軒の出があるメリット
5.雨漏りが発生しやすい屋根形状と軒
6.軒ゼロ住宅が増えた理由
7.【質問】結局、軒はあった方がいいでしょうか?
8.【質問】結局、軒の長さはどの位あればいいのでしょうか?
9.屋根と外壁の専門工事会社に修理は依頼しましょう
10.最後に

軒関係の用語

1.軒ゼロ住宅と雨漏り

新築住宅分野では軒の出がない「軒ゼロ住宅(箱型住宅)」が人気です。
たしかに、スマートですっきりとした印象の「軒ゼロ住宅」はおしゃれです。
特に都心などの狭小地では「軒ゼロ住宅」の採用が広がっています。
しかし、「軒ゼロ住宅」の増加に伴い、軒の出がないことが原因による雨漏り住宅が増加しています。
このページでは軒と雨漏りの関係性を中心について解説します。

軒ゼロ住宅と雨漏り

2.軒・軒先とは

屋根の端部分を軒(のき)もしくは軒先(のきさき)と呼びます。
昔ながらの戸建て住宅は軒の出(長さ)がたっぷりとありました。
一方、現在では軒の出(長さ)がない「軒ゼロ住宅」が人気です。
軒ゼロ住宅の「軒ゼロ」とは軒が全くないことではなく、軒の出(長さ)がない、もしくは短い住宅のことを示します。
首都圏のある地域で行われた調査では、過去10年の間に建築されたのうち1/3が「軒ゼロ住宅」でした。

軒の出、長さ

 

3.軒関連の建築用語【軒とケラバの違い】

住宅の屋根形状は下図のように、切妻・片流れ・寄棟・方形・入母屋があります。
どの住宅も屋根の端である「軒」が存在します。
「軒」の部位は厳密に軒(先)とケラバの2つに区別します。

屋根の形1屋根の形2

 

3-1.軒(先)とケラバの違い

切妻屋根や寄棟屋根において、地面に対して平行になる屋根の端を「軒」と呼びます。
水を受ける「雨どいがある」屋根の端です。

一方、切妻屋根や片流れ屋根において、地面に対して傾いている屋根の端を「ケラバ」と呼びます。
「雨どいがない」屋根の端のことです。

寄棟屋根や方形屋根は全方向に雨どいが付いているので、屋根の端は全て「軒」と呼びます。
切妻屋根や片流れ屋根は、雨どいがある端は「軒」、ない端は「ケラバ」と呼びます。
(※極めて稀ですが、ケラバに雨どいを取り付けている住宅もあります。)

構造上、軒より雨どいがないケラバ(破風板)の方が雨風の影響が受けやすく、劣化しやすい特徴があります。

 

ケラバと軒先

3-2.破風板(はふいた)と鼻隠しの違い

軒先には雨どいが取り付いています。
雨どいを取り付ける下地になる板を「鼻隠し」と呼びます。

一方、ケラバ部分の先端にある板を「破風板」と呼びます。
破風板のない住宅もありますが、雨風から住宅を守るために多くの住宅には破風板が取り付いています。
昔の住宅では鼻隠しと破風板は木材を使用していましたが、現在の主流は金属もしくは窯業です。
破風板に関する詳細はこちら

鼻隠しと破風板は同素材の製品を用いるため、見積り書を作成する際には破風板と鼻隠しをまとめて「破風板」と呼ぶことが多いです。

 

破風板 鼻隠し

3-3.軒天(のきてん)

軒の出がある場合、軒の裏側に天井板を張る必要があります。
この部位を「軒天」や「軒裏天井」、「軒裏」と呼びます。
軒天には白もしくはグレーの板が張られています。
この板のことを「軒天ボード」と呼びます。
軒天に関する詳細はこちら

軒天井

4.軒の出があるメリット

4-1.雨漏りを防ぐ

軒の出がしっかりあれば外壁との取り合い部への雨漏りを防ぐことができます。
軒の出がある住宅と軒のない住宅では雨漏りリスクが5倍も違うといったデータもあります。
また、軒の出があれば外壁が受ける雨の量が減ります。
これは、開口部(サッシ回り)からの雨漏りを防ぐことに繋がります。

4-2.日差しの調整と保護

軒の出があればあるほど、直射日光による外壁のダメージを軽減してくれます。
再塗装やシーリング材打ち替え頻度が減り、将来発生するメンテナンス費用を抑えることができます。

4-3.急な雨の雨除け

yahoo!知恵袋を見ると、軒の出があって良かった理由のひとつに、「急な雨の時に洗濯物が濡れないですむ」。
といったコメントがありました。実生活における貴重な意見です。

4-4.室外機の耐用年数が高まる

室外機や給湯器が雨ざらしになると故障が早くなります。
軒や庇をの出を十分に設けて、室外機や給湯器を水濡れから保護することが望まれます。

軒の出があるメリット

5.雨漏りが発生しやすい屋根形状と軒

5-1.片流れ屋根と雨漏り

住宅瑕疵保険会社大手のJIO(日本住宅保証検査機構)では屋根形状別の雨漏り発生数を調査しています。
調査結果では片流れが全体の約75%で切妻が15%、寄棟が6%でした。
片流れ屋根の雨漏り件数が大多数を占めています。
その原因は「片流れ屋根+軒ゼロ」で構成された住宅が増えたことです。

部位では軒(水上側・棟側)と外壁との取り合いが最も多く、雨水の吹き返しよる軒裏への浸水が主な原因です。
軒の長さがない、もしくは短い場合、屋根端部の隙間から入った雨水はダイレクトに壁内に流れ込みます。
仮に軒を大きく出していれば、隙間があっても簡単には壁内に浸水することはありません。

軒の長さがない片流れ屋根の雨漏りは、棟板金の上に水切り板金を取り付けることで解消されます。
水切り板金の取り付けは簡単ですが、足場工事が伴うため高額になります。

5-2.切妻屋根と雨漏り

切妻屋根は片流れに次いで雨漏りが発生しやすい屋根形状です。
主な原因は3つあります。
一つ目は雨漏りが発生しやすい棟部が他の屋根に比べて長いことです。
二つ目は切妻屋根は妻側壁面に換気口を取り付けることが多く、換気口回りから雨漏りが発生しやすいことです。
三つ目は雨風の影響を直接受けるケラバがあることがあげられます。
特に注意するのが洋風の切妻屋根です。
日本の伝統的な住宅ではケラバと軒先共に出を設けますが、洋風住宅ではケラバの出だけを極端に短くする傾向がありす。
軒もケラバも短い「軒ゼロ住宅」になると更に雨漏りリスクは高まります。

5-3.寄棟

寄棟は雨漏りが発生しにくい屋根です。
軒先の4方向から雨水を受ける軒どい(雨どい)があるため、屋根と外壁の取り合い部の雨漏りや外壁の雨がかりを防ぐことができます。
屋根面積が広く、棟の長さが短いことも長所です。
雨仕舞を考慮した場合、寄棟(方形)は合理的で優れた屋根と言えます。

しかし、寄棟でも「軒ゼロ住宅」の場合は雨漏りが発生しやすくなります。
豪雨や暴風雨時には軒樋は機能せず、屋根と外壁の取り合い部の水濡れが避けられないからです。

ケラバのない家

6.軒ゼロ住宅が増えた理由

6-1.狭小地に建設する必要がある

軒先の長さは建蔽(ぺい)率に関わります。
都心などの狭小地では、居住空間をギリギリまで確保するのが一般的です。
そのため、軒先の長さを設けない住宅建築が常識になりつつあります。

6-2.デザインの好み

軒ゼロ住宅は洗練された印象があり、おしゃれです。

6-3.初期費用とメンテナンス費用を抑えることができる

軒を出すことで屋根材料費や軒天ボード費用、施工費用がかさみます。
ローコストで住宅を建築することができます。
また、軒天や破風板のメンテナンス費用も抑えられます。

軒ゼロ住宅が増えた理由

 

7.結局、軒はあった方がいいでしょうか?

A.軒はあった方がいいです。

軒の出があるほど雨漏りのリスクは低減し、外壁が保護され住宅の耐久性能が高まります。

 

8.結局、軒の長さはどの位あればいいのでしょうか?

A.軒の長さはあればあるほどいいです。

長さは300/450/600/900mmが一般的です。理想は1200mmです。
軒の長さを十分にとるだけで雨漏りのリスクは低減し、建物は保護され将来発生する外壁のメンテナンス費用を抑えることができます。
1.2メートル軒と庇の長さを確保すれば住宅一層分の外壁が雨と紫外線から保護されると言われています。
新築住宅の購入をご予定の方は、軒の出が十分にある住宅建築をおすすめします。

軒の長さはあった方がいいのか?

9.屋根と外壁の専門工事会社に修理は依頼しましょう

屋根と外壁の取り合い部からの雨漏りは、雨漏り全体の中で谷どいについて第二位です。
その原因はとてもシンプルです。
屋根と外壁を工事する会社と職人が異なることが原因です。
本来、屋根で使用する下葺き材(ルーフィングシート)は外壁まで張る必要があります。
そして、外壁で使用する透湿シートは屋根まで張る必要があります。
しかし、それぞれの工事が分離されてしまうため、防水下地の連続性が失われてしまいます。
言い換えれば、単なるコミュニケーション不足が原因とも言えます。
屋根と外壁の施工は相互の役割分担を明確にすることが重要です。
屋根と外壁工事に精通し、統括している会社の工事であれば、屋根と外壁の取り合い部からの雨漏りは基本的に発生しません。
少なくともこのような会社に施工を任せていれば、雨漏りトラブルの発生率が軒のある住宅の5倍になることはなくなるはずです。
屋根と外壁の取り合い部からの雨漏りにお困りの読者の方は、屋根と外壁の両方を専門にしている工事会社にご相談ください。

屋根と外壁の専門工事会社

10.最後に

・軒ゼロ住宅が人気です。その一方、軒ゼロから起因する雨漏りが多発しています。

・「片流れ+軒ゼロ住宅」は雨漏りが極めて発生しやすい屋根です。

・軒の出を十分設けることで、雨漏りリスクを低減し、将来発生する外壁のメンテナンス費用を抑えることができます。

・ 屋根と外壁の取り合い部からの雨漏りは、屋根と外壁の両方を専門にしている工事会社の的確な診断、施工技術が不可欠です。

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