住宅屋根のリフォーム補助金と耐震改修助成金制度

ブログ | 2016.11.12

目次


1.各自治体のリフォーム補助金サイト

2.リフォーム 補助金制度
3.耐震改修における屋根のリフォーム
4.耐震改修工事に関する費用の種類
5.耐震改修の流れと業者について
6.【最重要】耐震改修補助金について注意して欲しいポイント
7.屋根リフォーム補助金制度の考察
8.まとめ

多くの自治体でリフォーム(改修工事)の助成金(補助金)制度を設けています。
特に耐震改修の場合は100万円単位で給付されることがあるため、積極的に活用することが望まれます。
しかし、補助金の給付は手段であり、目的ではありません。
そのため、使い方に注意して欲しいポイント(落とし穴)があります。
今回の記事ではリフォームの助成金制度について解説いたします。
リフォーム補助金

1.各自治体の住宅リフォーム補助金サイト

市区町村ごとのリフォーム補助金制度を検索できるサイトがあります。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成28年度版)
掲載されていない制度もあるので、詳細は市区町村の建築指導課にお問い合わせ下さい。

各自治体の住宅リフォーム補助金サイト

2.住宅リフォーム 補助金制度

工事内容に大きな制約がなく、「リフォーム」を実施するだけで補助金を給付してくれる自治体が存在します。
ただし、このような補助金制度を導入している自治体は残念ながら少数派です。
多くの自治体では建築士による診断を求めるなどの制約があります。
また、耐震改修工事とは異なるため給付される金額は大きくありません。
おおよそ3万円から5万円程度の金額が多いです。
条件や予算、申請期間、支払い方法、対象工事内容などは自治体によって全く異なります。-

下記に一部事例を紹介します。

2-1.東京都町田市の住宅改修助成金

町田市住宅改修助成金
目的 環境性能向上工事
工事内容 屋根の葺替え、屋根や外壁を遮熱塗装で塗り替える工事等
補助金 上限5万円
工事会社の指定 市内事業者以外の事業者でも認められるが助成率が下がる
その他 2016年度限りで助成金を終了

2-2.神奈川県海老名市の住宅リフォーム助成事業

海老名市リフォーム助成事業
目的 地域経済の活性化及び市内業者の育成
工事内容 リフォーム工事一覧はこちら
補助金 上限8万円
工事会社の指定 海老名市内に本社・本店のある事業者
その他 申請期間9月26日(月)~10月7日(金)

 

3.耐震改修における屋根のリフォーム

古い家屋は地震による倒壊の危険性があるため、全ての自治体は改修工事費の補助を行っています。

3-1.建物の要件

耐震改修の補助は昭和56年6月1日(旧建築基準)以前の住宅が対象です。
耐震診断時に上部構造評点と呼ばれる点数で住宅の耐震性能を評価します。
評点は0.7未満の住宅を1.0以上に判定されることを目標とします。
上部構造評点は耐震診断士(設計士・建築士)により算定されます。
イラスト参照:木造住宅の耐震改修の費用

耐震改修における屋根のリフォーム 構造評点

3-2.耐震改修と屋根の軽量化

主要な耐震改修は4つあります。
「基礎の補強」、「接合部の補強」、「壁の補強」そして「屋根の軽量化」です。
「屋根の軽量化」とは重い屋根から軽い屋根に葺き替えることです。
具体的には、日本瓦(陶器瓦)からガルバリウム鋼板屋根に葺き替えることです。
既存の屋根がコロニアルや瓦棒の場合は対象になることはありません。

実際に「屋根の軽量化」は耐震効果では最高ランクに位置づけられています。
一方、工事費用は最も高額です。

耐震改修と屋根の軽量化

リフォーム費用が高額だからといって屋根瓦をそのまま放置して置くわけにはいけません。
いずれ屋根にも寿命が到来します。
屋根は目立たないところでもあり、リフォームが後回しになりがちな部位です。
しかし、雨漏りの修理費用が支払えないことで、住まいを売り払う状況に陥ってしまうケースは少なくありません。
日本の空き家問題が顕在化していますが、空き家にする理由は雨漏り等で賃貸活用できないことが原因のひとつです。
老朽化した家屋付きの土地の資産価値は減少します。
耐震改修の優先順位が高く、かつ高額なものから補助金を利用して解決していく考えも大切です。
「屋根の軽量化」だけを実施し、構造評点1.0を目指すこともひとつの手段です。
イラスト参照:木造住宅の耐震改修の費用

http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2014/05/hiyou.pdf

 

4.耐震改修工事に関する費用の種類

※記載内容は典型的な改修工事費用の種類です。
各自治体によって名称や名目が異なることがあります。

耐震工事に関する費用は4種類あります。
「診断」「設計(補強計画)」「監理」「改修工事」です。
そのうち、診断・設計・監理の費用は業務報酬基準が策定(国土交通省)されています。

 

4-1.診断の費用と相場

住宅の耐震性能を診断するための費用です。
診断士(設計士・建築士)は区市町村から紹介されることが多く、診断費用が無料の自治体も存在します。

診断費用の相場 東京都 耐震ポータルサイトよ
10万円/棟~20万円/棟

耐震改修の診断費用の相場(東京都 耐震ポータルサイトより)

耐震診断の費用は、建物規模等にもよりますが、木造住宅の場合、概ね10万円~20万円程度(図面ありの場合)と言われています。
これは、壁の仕上げ材をはがして隠れた部材を確認するようなことはせず、図面や目視で調査する範囲のものです。
また、鉄筋コンクリート造の場合、床面積あたり500円~2000円程度と言われています。
例えば、1フロア当たり200m2程度の10階建ての建物の場合(延べ床面積が約2,000m2)、100万円~400万円程度が必要になることになります。

4-2.設計の費用と相場

改修工事を行うには区市町村の建築指導課から、設計図書(補強計画書)の提出が求められます。
設計図書の作成費用や申請代行費費用が発生します。
区市町村のよっては設計に要する費用の一部負担について助成金制度を用意しています。

診断費用の相場 東京都 耐震ポータルサイトよ
1棟あたり約30万円程度

4-3.監理の費用

改修工事が設計計画通りに実施されているか監理するための費用です。
実際は設計業務と監理業務は同一業者で行うことが多いため、費用は一緒に計上されます。

4-4.改修の費用

改修(リフォーム)工事費です。
言うまでもなく、診断や設計の費用に比べて改修費用は高額です。
慎重に工事会社を選定し、できる限り相見積もりをするようにしてください。

 

5.耐震改修の流れと業者について

5-1.耐震改修を行う手順

※記載内容は典型的な改修工事の流れです。
区市町村によって名称や名目が異なることがあります。

STEP 実施内容 実施者
耐震診断助成の申し込み 申請者(建物所有者)
診断調査 診断士(設計士・建築士)
3 助成金申請 申請者(建物所有者)
4 精密診断・設計(補強)契約を結ぶ 申請者(建物所有者)
5 補強計画等の設計図書作成 設計士(診断士・建築士)
6 工事契約を結ぶ 申請者(建物所有者)
7 工事開始 改修工事会社
8 工事監理 工事完了報告書作成 設計士(診断士・建築士)
9 工事完了報告書の提出 申請者(建物所有者)
10 助成金請求書の提出 申請者(建物所有者)

 

5-2.「診断」・「設計」・「監理」業務者と申請手続きについて

改修工事申請の手続きは複雑かつ難解です。
申請用紙は専門用語だらけであるため、明らかに慣れている人(経験者)でなければ行うことができません。
代理申請を実施してもらうことも少なくありません。

5-3.【重要】施工業者の要件

「診断」・「設計(補強計画)」・「監理(報告)」・「改修工事」のいずれにおいても実施業者に制限があります。
市町村内に本店がある業者への発注のみに補助金給付を認めています。

しかし、「改修工事」だけは高額であり適正な工事費用を確認するだけでなく、工事業者の技術力も確保される必要があるため、さいたま市のような一部地域では「改修工事」項目のみ市外の業者に発注することを認めています。
中には市外の業者への発注を認める代わりに補助金を減額する市町村もあります。

この工事業者の制限があるため、定額屋根修理では多くの場合、補助金を用いた屋根工事を請け負うことができません。
ただし、屋根以外の耐震改修費用に補助金を利用し、屋根工事だけを弊社で請け負わせていただくパターンは可能であり、たくさんの実績がございます。

 

6.【最重要】耐震改修補助金について注意して欲しいポイント

耐震改修にはステップがあり、どの項目も複雑で専門的な手続きを要します。
「診断」・「設計」・「監理」業務はそれぞれ異なる業者や建築士に分けて任せることができますが、業務を全てひとつの業者に任せてしまう傾向があります。
たしかに、一元的にひとつの業者に任せてしまう方が楽です。
しかし、自治体が紹介してくれた診断士であえば信頼できるだろうと思い、深く考えず一連の流れを疑うことなくも工事まで丸投げ発注する行為に及ぶことは危険です。
診断や設計・改修工事はそれぞれコネクトされているため、最初の依頼先(診断士)にイニシアティブを取られてしまう可能性があります。

耐震改修実施業者 

 

6-1.工事費が高くなる

以下は弊社宛に寄せられたお問い合わせの内容(原文)です。
自治体の住所のみ伏せさせていただいています。

「現在■■の耐震補助制度を利用して耐震工事の見積もりを建築士を通し工務店から頂いております。
屋根部分面積の見積もりを含め金額が似たような他物件と比べ(複数物件所有)工事費用が割高で他の業者様からも具体的な見積もりを頂けたらと思い問い合わせさせて頂きます。 築60年以上、20年以上空き家だったこともありかなりの傷みがあり野地板、垂木も損傷が激しい状態で全て葺き替えが必要かと思います。
以下詳細(税抜)
足場 294m2 単価1500
瓦撤去 166m2 単価7000
野地板、垂木撤去 166m2 単価2400
既存樋撤去 137m 単価500
野地板、垂木新設 115m2 単価4200
化粧野地板、垂木新設 51m2 単価5500
ゴムアスルーフィング貼 166m2 単価1200
カラーベスト コロニアル 166m2 単価4500
板金工事 34m 単価4550
軒、堅樋新設 137m 単価2600」

結論を申し上げます。
弊社が算出する工事費の2倍以上の金額請求になっています。
(定額屋根修理価格表参考)
定額屋根修理では費用を計上しない見積もり項目があります。
加えて、弊社は診断費や設計費はなく、工事監理費は1日15,000円です。(屋根工事の平均工事日数は6日前後)
せっかく耐震改修補助金を給付されたにもかかわらず、これでは時間とお金の無駄です。

診断士がお客様に総合建築(リフォーム)会社を紹介し、総合建築会社が屋根工事会社に依頼する流れがある場合、これはいわゆる孫請けシステムです。
孫請けによる紹介料を支払うのはエンドユーザーです。

適正な工事価格が担保されるために、横浜市では3社以上に工事の見積りを取ることを給付の条件にしています。
しかし、多くの市区町村では横浜市ほど人口が多くはないため、複数社による見積り作成を必須にはしていないのが現状です。

 

6-2.地域活性化にはならない

設計や工事を区市町村の事業者に制限している理由は「地域経済の活性化」が目的です。
しかし、仲介業を中心とする会社でも耐震改修の施工事業者の対象になれます。
「区市町村に本社である会社=実際に工事する会社」であるとは限りません。

 

6-3.高い工事品質が確保できない

屋根の工事は「金属(板金)屋根工事会社」と「日本瓦屋根工事会社」、「コロニアル工事会社(主に新築)」に大きく分別されます。
金属屋根と日本瓦を使用する工事は技術や使用道具などが全く異なります。
一方、コロニアルは主に新築工事で用いられ、金属屋根は主にリフォーム工事で用いられます。
したがって、同じ屋根工事会社といえども得意・不得意があり、屋根の耐震改修工事は金属屋根工事会社に依頼することが重要です。
しかし、総合建築会社はもとより、「日本瓦屋根工事会社」や「コロニアル工事会社」も屋根のリフォーム工事業務を標榜し、受注しているのが現実です。
住宅における金属屋根工事はここ20年の間に急速に発展した業種です。
そのため、金属屋根工事の実績が豊富な会社は多くはありません。
区市町村の事業者に制限することは選択の自由がなくなることであり、より高い品質の工事を受ける機会を減少させることになります。

 

7.屋根リフォーム補助金制度の考察

日本は地震大国です。
いつどこで大型地震が発生してもおかしくありません。
地震と屋根の関連性は極めて強く、先の熊本地震でも多くの住宅で屋根が被災しました。
報道によると、屋根の工事は1年以上待たされている状況です。
その間はブルーシートによる応急処置で雨風をしのぐことになります。
一方、日本の公共事業は減少しており建築業界は縮小傾向です。
屋根工事は転落事故の危険があり、天候に左右され、重い瓦を扱うため成り手がおらず、更に厳しい状況が続きます。
雨漏り修繕などは複雑であり、言葉の壁があるため外国人に任せることができません。
このような背景を考えると、地域の工事会社に発注することは将来の日本のインフラ整備を考えると有効な行為です。
屋根職人が廃業にせず、技術を受け継ぐ職人を育て、支えることは大切です。

この部分だけを切り取るとまともな話に感じます。

しかし、実際は受注会社が他県の屋根工事会社に下請け発注しているケースがあります。
中には、診断から改修工事までをパッケージで受注し、高額な工事金額をお客様に請求しているケースもあるのです。
工事会社を区市町村の事業者に制限することは、役所と議会、地元の建築業者が囲い込んでいる側面としても見られます。
ある市議会議員が地元の建設会社の社長であるなどは、よくある話です。
他の(ライバルの)市区町村に工事を奪われないように制限をしているのかもしれません。
発注者の選択の自由の機会を奪うこと自体、独占禁止法にも抵触するようなグレーな側面もあります。

この記事の冒頭にも書きましたが、リフォーム補助金の給付は手段であり目的ではありません。
リフォーム補助金制度で10万円給付されても、耐震改修補助金制度を利用して100万円給付されても結果的に損をするリスクがあります。
十分な検証をした上で補助金の利用を判断し、適切な工事会社を選定する視点を私たちは養う必要があります。

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8.まとめ

・市区町村ごとにリフォーム補助金制度が設けられています。

・工事内容に大きな制約がなく、リフォームを実施するだけで補助金を給付する自治体が一部存在します。

・古い家屋は地震による倒壊の危険性があるため、全ての自治体は改修工事費の補助を行っています。

・「屋根の軽量化」は主要な耐震改修工事のひとつですが、工事費は最も高額です。

・「屋根の軽量化」だけを実施し、構造評点1.0(倒壊しない建物)を目指すことも有用な手段のひとつです。

・「診断」・「設計」・「監理(報告)」・「改修工事」のいずれにおいても異なる業者や建築士に任せることができます。

・「診断」・「設計」・「監理(報告)」・「改修工事」はそれぞれコネクトされているため、最初の依頼先(診断士)に工事まで任せきってしまうことが少なくありません。

・一元的にひとつの業者に任せてしまうことは、結果的に損をするリスクを生じる可能性があります。

・同じ屋根工事会社といえども得意・不得意があり、屋根の耐震改修工事は金属屋根工事会社に依頼することが重要です。

・十分な検証をした上で補助金の利用を判断し、適切な工事会社を選定してください。

定額屋根修理はお客様の利益になる情報をご提供し続けます。