軒天の雨染み、雨漏りの原因とリフォーム・修理方法

ブログ | 2016.07.27

軒天(のきてん)のリフォーム方法と費用について解説します。
軒天のリフォーム方法は大きく3つあります。
「重ね張り」、「張り替え」、「塗装」の3パターンです。
経験を積んだ屋根板金職人であれば、いずれの工事も容易に対処できます。

軒天の工事は屋根本体の工事と合わせて行うことをおススメします。
「買い物するついでに郵便局に行く」、「洗濯するついでにお風呂を掃除する」など、「ついでに」何かをすることはとても効率的です。
軒天のリフォームは屋根工事をするついでに、屋根職人に依頼することが費用の負担も少なく、お得です。
軒天重ね張りリフォーム

1.軒天のメリットとデメリット

1-1.軒天とは

軒天とは軒先の裏側にある天井のことを示します。
軒天は住まいを長期的に守るための重要な役割をもっていますが、最近は軒先(軒天)のない家が増加傾向にあります。
建築主や施主の意向もありますが、設計会社や建築会社の都合により軒天を設けないケースがほとんどです。
以下に、軒天のメリット、デメリットを示します。
軒天のない家

1-2.軒天のメリット

・屋根裏の延焼を防ぐ

隣家に火災が発生した場合、まず、軒裏に火が襲いかかります。
このため、軒裏には一定基準以上の防火性能が求められます。
具体的に、準防火地域の木造2階建てでは、軒天には耐火時間30分以上(防火構造)の性能が必要になります。
軒天は火災時の延焼を防ぐ機能があります。

・軒裏を隠す

軒天がない場合、野地板や垂木、桁などが露出した状態になります。
下地材が露出した状態は決して見栄えのいいものではありません。
軒天は意匠を整えるための役割があります。

・屋根裏換気ができる

軒天に有孔板(穴の開いているボード)を使用したり、軒裏換気口を設置する事で、屋根裏の内部結露を防止できます。

軒天換気

1-3.軒天のデメリット

・定期的なメンテナンスが必要

軒先は雨漏りのリスクを低減し、長ければ長いほど優れた住宅と言えます。
しかし、軒先を長く設けるほど、屋根と軒天の面積が増えます。
たっぷり出のある軒天は雨や風、つららなどの影響を受け、汚れたり、剥がれたりします。
定期的なメンテナンスが必要になり、屋根関連の工事費用がかさむことになります。
現在、軒天のない家が増加している理由は、屋根と軒天の面積を減らすためのコストカットが大きな目的です。

・建物と敷地境界線との距離

軒天(軒先)を設けることで敷地境界線との距離が短くなり、建築基準法の取り扱い基準に違反する可能性があります。

軒天のメンテナンス

2.軒天の雨染みと雨漏り

2-1.軒天は雨漏り発見機?

水は低い方向に集中するため、雨は軒先部分に比較的多く漏れます。
軒先部分の雨漏りは、軒天に雨染みとして残ります。
雨漏りは発見するタイミングにより、将来の修繕方法や費用が大きく変わります。
もちろん、雨漏りを早期に発見し、対処することは、被害の拡大や、将来の修繕費用を抑えることにつながります。

是非、定期的に軒先を見上げて、軒天に雨染みがないかチェックしてください。

尚、雨染みは雨漏りではなく、結露による染みの可能性もあります。
雨染みを目視だけで判別するのが困難な場合、一度、プロの屋根工事専門家に相談してください。

雨漏りによる軒天のシミ

2-2.軒天と外壁の取り合部は雨漏りの原因になりやすい

軒天と外壁の取り合い部は構造上、雨仕舞の弱点になります。
この取り合い部から雨が漏れることがしばしばあります。

主な原因は、暴風雨時の下から吹きあがる雨水の侵入です。
軒天と外壁の取り合い部の雨漏りの多くは、浸水する箇所と排水する箇所が異なるのでやっかいです。
例えば、サッシのまわりの防水処理を十分に施したにも関わらず、サッシから雨漏りが改善しない場合、私たちは軒天の取り合い部からの雨水の侵入を疑います。
実際に、軒天と外壁の取り合い部に防水処理を施すことで、ピタッとサッシまわりの雨漏りが改善した経験がたくさんあります。

取り合い部にコーキング処理をすることで、雨漏りの改善が期待できます。
しかし、コーキング処理の場合、施工後数年でコーキングが剥がれて再び、雨漏りを発生させる恐れがあります。
最も効果的な修繕方法は、軒天と外壁の取り合い部に雨仕舞板金を取り付けることです。
一般に軒天の張りつけは大工さんの仕事ですが、雨仕舞の観点から工事する職人を判断する場合は屋根板金職人による改修工事が最も信頼できます。

軒天と外壁の取り合い部

2-3.軒樋のオーバーフローによる軒天の腐朽

台風などの豪雨時、雨水が軒樋(のきどい)の排水能力を上回り、樋から溢れ出ることがあります。
樋やジョウゴにゴミなどが詰まっている場合も同様です。
溢れだした雨水は軒天を腐朽させたり、雨漏りを引き起こします。

雨天時には、樋がしっかり機能しているのか定期的にチェックする必要があります。

樋のオーバーフローによる雨漏り

3.軒天の材質・種類

軒天で使用される材料

・カラーベニヤ

カラーベニヤは築30年を超える住宅の軒天で多く使用されています。
地域(準防火地域)によって軒天の材質に防火性能が求められるため、現在では使用することが少なくなっています。
ただし、施工面や費用面で大変優れており、廃れたわけではありません。
定額屋根修理でもしばしば軒天のリフォームにカラーベニヤは使用しています。

・ケイカル板(けい酸カルシウム板)

ケイカル板は、現在、最も主流である軒天材です。
防火性能の基準をクリアーした製品(軒裏30分準耐火構造適合品)があるため、法律による制限を気にすることなく使用できます。
ケイカル板は耐久性や耐火性、耐水性に優れています。
様々な種類のデザインがある上、無塗装品やあらかじめ塗装されている製品があるなど、商品のラインナップが豊富です。
また、通気性を確保した有孔ボードも販売されています。
グレードや厚みにもよりますが、価格は若干高めです。

・金属(スパンドレル)

金属製の軒天にスパンドレルと呼ばれる仕上げ材があります。
スパンドレルは軒天だけでなく、外壁にも使用されています。
ビルやマンションなどの比較的大きな建築物の軒天仕上げ材として用いられています。
主な原料はガルバリウム鋼板です。

カラーベニヤ軒天

主な軒天メーカー

軒天はたくさんのデザインやカラーがあります。
下記は、代表的な軒天メーカーのリンク先です。
デジタルカタログもありますので、参考にしてください。
ニチハ株式会社 軒天

ダイケン工業株式会社 軒天

NBL株式会社(吉野石膏グループ) 軒天

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4.有孔ボードについて

ケイカル板の軒天には、表面に穴がたくさん付いた有孔タイプの商品があります。
屋根裏に溜まった熱気や湿気を外部に排出するために作られています。
屋根裏換気は建築基準法には規定されていませんが、フラット35の住宅ローンや、住宅性能表示制度を利用する場合に規定されています。
穴の大きさは、定められた計算方法で面積を求める必要があります。
具体例:軒裏に換気口を設ける場合、換気口の面積は天井面積の1/250以上とする。等

有孔ボードには、板の一部にだけ穴が空いているタイプと全面に穴が空いているタイプがあります。
一部に穴が空いているタイプは防火有孔板と呼び、通気だけでなく、防火の役割も果たします。
防火有孔板の使用の有無が火災保険料の金額設定に関わることがあります。
全面に穴が空いているタイプは全面有孔板と呼び、準耐火構造の住宅には使用できません。
つまり、「ケイカル板」=「防火性能が備わった板」ではありません。
ケイカル板もお客様のお住まいの地域特性によって、使用できないボードがあるので注意が必要です。

防火有効ボード

5.リフォーム方法

5-1.重ね張り(カバー工法)

既存の軒天が下地として機能できる場合、補強を行った上、新しい軒天ボードを重ね張ります。
重ね張りは工期が短く、工事費用もお手頃なので、スタンダードなリフォーム方法です。

5-2.張り替え

既存の軒天が著しく劣化している場合は、既存の軒天を撤去し張り替えます。
この場合、撤去の手間と廃材の処分費用が発生します。
また、軒天にアスベストが含有している場合、撤去や処分の費用が多額になります。
アスベスト含有の有無の調査は、行政が無料で行っているのでご不安があるお客様は、一度、各自治体の窓口にご相談ください。

尚、軒天の場合、結露や雨漏りが集中する部位だけが著しく劣化していることがあります。
この場合、弊社では重ね張りと張り替えを組み合わせて、適宜適切なリフォームの対処をしています。

5-3.塗装

軒天ボードが比較的良好な場合、塗装によるメンテナンスを行います。
軒天が乾燥した状態で清浄し、下塗り、上塗りの2回塗りをします。
新築時は主にエマルション塗料(EP塗料)を使用します。
最近のリフォームでは主に非水エマルション塗料(NAD塗料)を使用します。
非水エマルション塗料はエマルション塗料に比べて、付着性や耐水性が高い上、臭気が少ない等のメリットがあります。

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6.軒天のリフォーム費用

定額屋根修理による軒天の修理費用のご案内です。
記載のある工事内容は一部になります。
補修や軒天換気材が付いている場合は別途費用が発生します。
提示している工事金額は屋根本体工事(葺き替え・カバー工法)と合わせて行うことを前提にしています。
また、軒天の改修工事をする職人は屋根職人が行います。
軒天に関わる工事も経験が豊富ですので、工事品質はご安心ください。

工事内容 工事費用(税抜)
※1カラー合板(白) 重ね張り 5,000/m
※1塗装品ケイカル板 重ね張り 6,000/m
※2無塗装ケイカル板 張り替え(既存撤去・処分含) 8,000/m
※2無塗装ケイカル板の塗装(1回塗り) 1,000/m
既存軒天のNAD塗装(2回塗り) 1,800/m

※1.下地の劣化が著しく腐食していない場合に限ります。
有孔板がある場合は有孔板は塗装します。
※2.お住いの既存軒天の厚みにより、使用するケイカル板の価格が異なる場合があります。

その他
軒天のみの一部補修や全面改修も承っております。
状況によっては足場を必要としない場合もあります。
工事費用・お見積もりに関しては、別途、お問い合わせください。

屋根工事と軒天工事

6.軒天の工費費用を安く抑えるには

軒天の工事は屋根本体の工事と合わせて行うことをおススメします。

一般に、新築住宅の場合、軒天の張りつけは、大工さんが行います。
屋根職人や外壁職人、塗装職人が軒天工事を行うことはありません。
しかし、リフォームの場合、専門の職人を新たに増やし分業することは、工事費用がかさむことになります。
外壁や屋根工事の付帯工事(ついで工事)として発注することがベストです。
軒天工事の経験がある(手先が器用な)屋根職人に、屋根本体の工事と合わせて行ってもらいましょう。
弊社の屋根職人は、軒天の張り替えから塗装まで、十分な経験をしており容易に対処ができます。

また、当たり前の話ですが、塗装会社は塗装によるメンテナンスを積極的に勧めいます。
塗装を主とする会社のホームページでは、軒天の張り替えや増し張りは消極的な表現をしているはずです。
そもそも、ビスや釘を扱う工事に慣れておらず、塗装以外の工事ができない可能性もあります。
適切な工事を行うためにも、第三者の視点でリフォーム方法が判断できる屋根工事会社に軒天の相談することをおススメします。

軒天の工事費用

7.定額屋根修理の軒天補修の実例

弊社が手がけた軒天工事について解説いたします。
軒天の劣化

7-1.既存の軒天

反りや雨染み、塗装剥離など、かなり劣化が進行しています。
この状態では、既存の軒天ボードを下地として利用ないので、重ね張り(カバー工法)はできません。
リフォームの方法は張り替えになります。
base-icon-arrow-bottom01軒天張り替え

7-2.軒天の張り替え

軒天を張り替えました。
軒天の両端に取り付いている棒は野縁と呼ばれるものです。
通常、野縁は軒天の裏側に取り付けるものですが、建築後数十年が経過した住宅では綺麗に軒天ボードを張ることができません。
多くの場合、壁際や破風板と軒天との間に隙間ができます。
見切り材として、野縁を外側に付け隙間を隠します。
base-icon-arrow-bottom01軒天のリフォーム

7-3.軒天の塗装

仕上げに塗装を行い、シーリング処理をして完成です。
今回の工事は野縁を見切り材として使用する必要があったため、無塗装のケイカル板を使用しました。
もちろん、あらかじめエマルション塗装の仕上げがされたケイカル板もあります。
現場の状況に応じて、適宜、使用材料を使い分けます。
綺麗になりました。今回は全空きタイプの有功ボードを使用しました。
軒裏の換気もよくなり、結露防止効果や断熱性能が高まります。

軒天リフォーム完成

8.まとめ

・軒天の修理は屋根工事と合わせて、リフォームするとオトクです。

・軒天のリフォーム方法や種類、デザインは様々ですが、法律や融資などの規定に関わることがあります。適切な判断ができる屋根工事会社に軒天のリフォームはお願いしましょう。